高水温が水稲の葉の生長に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
栄養生長期の水稲について,第5葉〜第12葉出葉期の各期に短期間(1出葉間隔)の高水温(35℃)処理を行い,その影響がどの葉位の葉に現れるか検討した.第n葉出葉期の高水温は,第n+1葉〜第n+3葉の葉身幅(対照区に対する抑制割合:7.8〜23.5%),第n+1葉〜第n+3葉の葉身長(対照区に対する抑制割合:9.8〜20.9%)および第n葉〜第n+1葉の葉鞘長(対照区に対する抑制割合:7.7〜13.0%)に対して抑制効果を示した.この場合,それぞれの形質が急激な増大を示す発育段階において高水温の抑制効果が最も著しかったが,それより1〜2段階早い発育段階においても高水温による抑制が認められた.また,高水温は第n葉〜第n+3葉の葉長を抑制し,抑制割合は第n+1葉で15.6%と最も大きく,他の葉位の葉はいずれも10%に満たなかった.これに対して葉身面積は第n+1葉〜第n+3葉が抑制され,抑制割合は第n+1葉で31.6%,第n+2葉で34.3%であり,その割合は葉長に比較して著しく大きかった.このことは高水温による葉長(草丈)への影響が見かけ上軽微であっても,相対的に葉身面積へ影響がきわめて大きいことを示しており,ソースとしての葉面積の低下は物質生産の上からも重要な問題を含んでいるものと考えられた.
- 日本作物学会の論文
- 2002-06-05
著者
関連論文
- 水稲登熟期間の時期別高温処理が玄米外観品質に及ぼす影響
- 水稲における根系と地上部のバランスが登熟に及ぼす影響
- 水稲登熟期間の湿度および遮光処理が背白米の発生に及ぼす影響
- 品質・加工 暖地水稲における高温登熟条件下の日射量および湿度が玄米品質に及ぼす影響
- 栽培 西南暖地の普通期水稲栽培における根系活力と登熟について
- 水稲登熟期の高温条件下における背白米の発生に及ぼす窒素施肥量の影響(品質・加工)
- 12 暖地水稲における玄米タンパク質含有率と背白米の関係(栽培,日本作物学会第226回講演会)
- 水稲登熟期間中の高温処理時期および玄米タンパク質含有率が背白米の発生に及ぼす影響
- 暖地水稲における窒素施肥量が背白米の発生に及ぼす影響
- 西南暖地における普通期作水稲の出液速度と収量構成要素との関係
- 暖地水稲の登熟期間の高温が玄米品質に及ぼす影響(品質・加工)
- 水稲の暖地早期栽培における登熟期間の遮光処理が収量,品質,食味に及ぼす影響
- 低アミロース米品種「彩南月」における登熟温度および水分含量が玄米品質に及ぼす影響
- カンショの塊根の肥大と形状の成立要因 : 塊根肥大初期の灌水処理の影響(形態)
- カンショの塊根の肥大と形状の成立要因 : 塊根形状の異なる2品種の比較(形態)
- 異なる土壌水分条件によるトウモロコシの根系構造の変化が水利用効率の及ぼす影響
- 異なる施肥条件による登熟期の水稲の出液速度と登熟の関連について
- 乾燥条件下におけるトウモロコシ根系の可塑性について : 節根の伸長角度と根系分布
- 高水温が水稲の葉の生長に及ぼす影響
- 水稲苗代期の低温障害に関する研究 : 低温下における苗の生長に及ぼす土壌水分の影響(形態)
- カンショの茎葉部における分枝系の発達とその品種間差
- 水稲苗代期の低温障害に関する研究 : 低温処理が根の生長および出液速度に及ぼす影響(形態)
- 甘藷の塊根肥大と地温との関係に関する一考察
- 水稲苗代期の低温障害に関する研究 : 低温処理が稲体の諸形質におよぼす影響 (形態)
- 水稲苗代期の低温障害に関する研究 : 1.低温処理が稲体の諸形質におよぼす影響
- 73 カンショの塊根収量と茎葉部諸形質との相関
- カンショの塊根収量と茎葉部諸形質との相関
- 47 甘藷の茎葉部諸形質と塊根肥大との関係 : 窒素施肥量を変更した場合
- 高水温が水稲の葉と冠根の形態におよぼす影響
- 133 甘藷の茎葉部の発達と塊根形成との関係 : シロユタカとミナミユタカの比較
- 甘藷の地上部の発達と塊根形成との関係 : 第3報 分枝系の発達とその品種間差
- 134 甘藷茎葉部諸形態と塊根重との間の相関
- 植物組織における熱伝導の測定法について
- 登熟期の高温ならびに掛け流しが水稲の登熟と出液速度に及ぼす影響
- 水稲登熟期の高温条件下における背白米の発生に及ぼす窒素施肥量の影響
- 暖地水稲における高温登熟条件下の日射量および湿度が玄米品質に及ぼす影響
- 西南暖地の普通期水稲栽培における根系活力と登熟について