チャ輪紋葉枯病菌のキノコ状菌体の形成におよぼす2,3の要因ならびに形成過程
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概要
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本報告はチャ輪紋葉枯病菌の培地上におけるキノコ状菌体形成に対する近紫外部光(BLB)の影響とその形成過程を経時的に観察したものである.1.本菌のキノコ状菌体形成に対するBLB間欠照射は連続照射に比較して, より多くのキノコ状菌体の形成を認めた.間欠照射とは, BLB30秒照射20秒暗期を1サイクルとする照射のことである.2.BLB前照射1時間と後照射2時間の間に暗黒処理(0.5,1,3,6および9時間)をしたところ, 6時間までは連続照射に比べ多くのキノコ状菌体を形成した.しかし9時間では暗処理効果が認められなかった.3.本菌の培地上における菌糸の伸長はPDAで最も伸長が良く, つぎに伸びの良いのが, YPDA-1で, つぎがYPDA-2であった.菌叢の厚みや菌糸密度の点から観察するとYPDAがPDAより綜合的にすぐれた培地であった.4.BLB照射下における各培地でのキノコ状菌体の形成数は, YPDA-1が最も多く, その次がYPDA-2で, つぎがPDAの順であった.BLBの照射距離(10,20,30,40および50cm)とキノコ状菌体の形成数との関係は, 10cmが最大で50cmが最低の値を示した.5.キノコ状菌体の形成過程を経時的に光顕観察すると, まず始めに菌糸の一部が分枝をくりかえし, キノコ状菌体のイニシャルとなり, やがてキノコ状菌体の原基様の塊となり, それが分枝をくりかえし大形となり, キノコ状菌体の形成へと進む.ここで生じたキノコ状菌体はBLB照射後24〜38時間で一応完成したが, いまだ未熟で完成するにはさらに3〜4日かかった.6.成熟したキノコ状菌体の切片観察によると, その内部構造は表層部分の組織と内部組織より構成され内部組織は菌糸の形態変化を起こした結果生じたものと考えられる.成熟したキノコ状菌体形成後は時間の経過とともに表層部分の細胞が長軸方向あるいは短軸方向に分裂し, その上に紡錐状ないし徳利状の細胞が多数形成され, その先端部に球形粒子が認められるようになり, 最終的には, キノコ状菌体の表面に球形粒子の層が形成された.これらの粒子はキノコ状菌体の成熟の4〜5日目頃から形成された.
- 鹿児島大学の論文
- 1985-03-15
著者
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