健康回復期にある患者への看護活動の分析 : grounded theory approachにおける理論的サンプリングを行なって

概要

論文の詳細を見る
本研究の目的は,先行研究によって示された臨床看護活動の構造を,より現実への適合性に優れたものに発展させ,その現状を明らかにすることであった。研究方法論としてはGrounded Theory Approachを用い,先行研究の理論的サンプリングとして行なった。そして,健康回復期にある患者への看護活動を本研究の対象とした。データ収集は参加観察によって行ない,分析は先行研究で用いられた手順にそって行なった。結果は以下の通りである。看護問題の視点から分析解釈した患者行動の構成要素において、身体・心理・社会という三側面相互の関連が明らかになった。一方、看護活動において看護婦は、看護婦と患者という役割とは関係のない一般的な人間同士の関わりとしての行動をとっていたことが明らかになった。また看護過程展開における計画立案・評価に関する活動の不十分さが示された。さらに、看護婦がケアによる患者への影響を適正に知覚しておらず、そのため職業生活を通しての自己実現が困難である状況の存在が示唆された。
日本看護教育学学会の論文
1994-03-31