殺菌灯照射による脂質の酸化について
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概要
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食品の微生物による腐敗変質を防止する目的で殺菌灯を使用する場合があるが,殺菌灯はもともと紫外線であり,たとえ微生物の活動を抑え得たとしても一方で食品成分に与える好ましからぬ副作用のあることも十分に考えられる。そこで本実験では,食品成分中でも比較的殺菌灯照射の影響を受け易いと思われる脂質をとりあげ,脂質に対する殺菌灯照射の影響を調べてみた。実験材料としてオリーブ油とアマニ油を用い,これに殺菌灯を照射してその酸価ならびに過酸化物価の変化を測定した。測定方法として,酸価は定法に従い,過酸化物価はLea法改良法によった。結果は1.アマニ油およびオリーブ油とも酸価ならびに過酸化物価は経時的に増大し,殺菌灯を照射した場合その傾向は一層顕著であった。その際特にアマニ油の過酸化物価の変化が急激で,酸化が急速に進むようであった。2.周囲の空気と自由に接触できる状態の開放区と,ガラスの管びん中に試料を封入した密封区とを比較すると当然のことながら開放区の方が何れの場合も経時的変化が大きかったが,その差は殺菌灯の照射により一層大きくなった。3.密封材料としてガラスとポリエチレンを比較するとガラスの方が紫外線透過を妨げる比率が大きく,ポリエチレン包装ではたとえ包装密封していても,ある程度は殺菌灯照射の影響を受けるようである。以上殺菌灯の照射は脂質の酸化に対して著しい影響を持つことがわかった。それ故食品に殺菌灯を照射した場合,微生物の活動を抑えることができたとしても,その副作用として食品中に含まれる脂質の酸化はまぬがれ難いようで,この点殺菌灯使用に際しては十分の注意が必要と思われる。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1975-03-28
著者
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