ブドウ(デラウェア種)の成熟期における果皮,果肉および種子中の含チッ素物質の消長について
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概要
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7年生デラウェア樹を用いて果粒成熟過程における生理代謝の転換時期を明らかにする目的で,果粒新鮮重および果粒の組織別含チッ素物質含量の消長を采粒成熟期間中調査した。(1)果粒新鮮重増加量,新鮮重増加率および乾物率より満開後30日目前後および54日目前後に果粒生長成熟過程に大きな変化があることを認めた。(2)果皮,果肉および種子の新鮮重増加より各組織とも異なる生育相を示すことを認めた。すなわち,果皮では満開後50日目以後,果肉では満開後54日目まで,種子では満開後42日目までそれぞれ順調な新鮮重の増加を示した。(3)含チッ素物質含量の消長からも各組織とも異なった生育相を持つことが明確となった。(イ)果皮では満開後54日目に水不溶性区分の含量が急激に高くなった。満開後54日目以前では水可溶性区分の含量が高く,流動的であった。満開後54日目以後は水不溶性区分の含量が高った。(ロ)果肉では水可溶性区分の含量が満開後54日目以後急激に高くなった。満開後54日目から57日目の期間に水不溶性区分の顕著な含量の増加を認めた。(ハ)種子では満開後54日目以後水不溶性区分および水可溶性酢酸鉛沈でん区分の含量が大部分を占めた。以上の結果よりブドウ果粒成熟期間において満開後30日目前後および54日目前後にブドウ果粒成熟への生理代謝の転換があっと推察された。また,果皮,果肉および種子におけるチッ素代謝も新鮮重増加量と同様それぞれ異なる様相を示し,同一組織においてもブド果粒成熟期間中に大きく変動すると推察された。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1972-03-28
著者
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