ブドウ(デラウェア種)果粒成熟期における無機栄養素の果粒内組織への分布状況について
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概要
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3年生デラウェア樹を用い,砂耕法により本実験を行なった。果粒成熟期における無機栄養素の果粒成熟に対する作用を検討するため,果粒内組織,果皮,果肉および種子中の各無機栄養素含量を調査し,同時に各組織への各無機栄養素の分布状態を検討した。(1)チッ素は果粒成熟期には果粒への吸収が増加し,果肉内に全果粒中含量の40〜50%が存在した。(2)リンは果粒成熟期間には全果粒中含量はやや増加する程度であった。しかし,果粒内組織への分布状態は特異的であった。すなわち,種子へのリンの集中が著しく,とくに果粒成熟期前半においてその傾向が顕著であった。(3)カリウムは果粒への吸収が果粒成熟期において著しかった。とくに57日目にその傾向が顕著であった。果粒内組織への分布についても,果肉内含量の占める割合が高かった。種子内含量は極端に低くなった。果粒成熟期後半には果皮内含量も高くなった。(4)カルシウムは意外に果粒内含量が低かった。全果粒中含量に対する各組織内含量の割合は種子が一番高く,ついで果皮,果肉の順であった。この傾向は果粒の成熟とともに顕著にあらわれた。(5)マグネシウムは果粒成熟とともに果粒内含量は増加したが,5栄養素中最低であった。また,果粒内各組織への分布状況はチッ素と類似した。以上のように無機栄養素の果粒内組織への分布は明らかとなった。
- 島根県立大学短期大学部の論文
- 1973-03-28
著者
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