高齢者重症筋無力症の臨床的検討 : 60歳未満発症例との比較

概要

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高齢者に発症する重症筋無力症(MG)は,近年増加する傾向にある。今回,我々は76例のMGの臨床経過を検討し,また60歳以上の高齢発症群のMGについて,その臨床像を60歳未満発症群と比較検討した。両群の間で差がなかったものは,(1)60歳未満発症群(64例),高齢者群(12例)共に,その男女比は1:6であった。また,(2)初発症状では,眼瞼下垂が最も多くみられた。(3)補助検査として,テンシロンテスト, Harvey-Masland試験によるWaning現象,抗アセチルコリンレセプター抗体価では,いずれも約80%の陽性率であった。(4)胸腺異常が30%の陽性率で認められた。さらに,(5)各種治療方法による改善度においても両群で相違はみられなかった。唯一相違点は,初発時重症度I型からII型へ移行するまでの期間であり,60歳未満発症群が平均33.9±9.4か月,高齢発症群が10.9±3.7か月で,高齢発症群で症状がより短期に増悪する傾向にあった。
北里大学の論文
1995-02-28