筋萎縮性側索硬化症患者にみられたNF-Hおよび60Kd神経細胞蛋白を認識するIgA lambda型M蛋白の微細エピトープ特異性の検討

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概要

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IgA lambda型M蛋白血症を伴った筋萎縮性側索硬化症で,そのM蛋白(IgA lambda抗体)がその発症に関与していると考えられる症例を経験した。我々は現在までにそのM蛋白がhigh molecular neurofilament protein (以下,NF-H)と60Kd神経表面蛋白質を認識し,そのNF-Hにおけるエピトープが(E KorE AKSP EorV K)であり,in vitroにおいてNF-Hのリン酸化を阻害することを明らかにした。一方,NF-Hは神経細胞内に存在する蛋白であるため,抗体が直接NF-Hに到達することはできないと考えられ,この抗体の神経細胞内へのアクセスに細胞膜に局在する60Kd蛋白が重要と考え,その同定を試みたが,微量蛋白のため困難であった。そこで本研究で,我々はエピトープの微細特異性を検討し,その配列を用いてエピトープ相同配列を有する既知の蛋白質を検索することを試みた。得られていたエピトープアミノ酸配列を基に1残基ずつのアミノ酸置換を行った合成ペプチドを作成し,ELISAにて患者M蛋白の合成ペプチドに対する反応性を検討した。その結果,モノクローナル抗体のエピトープは(EXAKXXXK)であり,リン酸化部位のセリンは必ずしもエピトープ認識には重要でないことが明らかになった。このエピトープ配列を基に既知の蛋白質を検索したところ,ヒトGABAA receptor α5 subunitをはじめとする幾つかの蛋白がこのモノクローナル抗体の標的抗原となりうることが明らかになった。
北里大学の論文
1998-04-30

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