小児ネフローゼ型紫斑病性腎炎 : 電顕所見と臨床経過との相関について

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<目的>ネフローゼ型を呈した紫斑病性腎炎で腎生検を施行した症例10例の内50%に半月体を認めたが,比較的早期に尿所見も正常化し治癒した症例を経験している。Cameronも第1回目の腎生検では軽度のメサソギウムの増殖のみを示し,数か月の経過で腎不全に陥り,腎不全期に行なった2回目の生検で著明な半月体をきたしていた症例を報告している。今回われわれは電顕所見によって予後を判定することを目的として研究をすすめた。<対象ならびに方法>ネフローゼ型を呈して免疫抑制剤を用いていない紫斑病性腎炎3例について臨床経過と腎生検電顕所見とを比較検討した。<結果>ネフローゼ型が遷延した症例では,半月体形成を認めなかったが,著明なdepositsの沈着を認めた(Fig.7,8)。ネフローゼ型を呈しても一時的で,尿所見も早期に改善した症例ではdepositsも軽度であった。半月体を50%に認めた症例でも,depositsは軽度で(Fig.5),早期に尿所見も改善した。<考案>ネフローゼ型紫斑病性腎炎の予後を決めるものは,半月体が採取糸球体の何%かということではなく,半月体を呈さない残余機能糸球体の炎症がどの程度か(depositsの程度)ということであると考える。従って今後は,できれば5個以上の糸球体の電顕的検索を行ないdepositsの程度をみることが必要となろう。<結論>半月体形成は必ずしも紫斑病性腎炎の予後決定因子とはならない。紫斑病性腎炎発症後ネフローゼ型が顕著となった時点での組織の電顕的検索により,基底膜に著明なdepositsを認めることが,ネフローゼ型の遷延化をきたし,ひいては腎不全に進行し得ることを予測させる。
北里大学の論文
1978-02-28

小児ネフローゼ型紫斑病性腎炎 : 電顕所見と臨床経過との相関について

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