小児疾患における異常ribonuclease, elastase活性値の検討

概要

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新生児(既報)を除く小児(乳児・幼児・学童・思春期)の各種疾患群において,血清 ribonuclease (RNase) 157例,血清 elastase (Ease)73例,血清α_1-antitrypsin (α_1-At)22例,白血球 RNase, Ease 7例の測定値について異常値のものに検討を加えた。血清 RNase では異常高値を腎不全群の3例全例が示し,最も高率かつ高値であったほか,感染症,膠原病,先天異常,腫瘍各群にも高値のものがいた。異常低値は急性下痢9例中4例,慢性下痢7例中4例が示し,次いで脳症4例中2例でみられたほか,感染症,痙攣,膠原病,肝胆道疾患,腎疾患,代謝内分泌疾患,血液疾患の各群にも低値のものがいた。なお代謝内分泌疾患のうちで,先天性甲状腺機能低下症乳児例では甲状腺ホルモン補充療法により異常低値が正常値範囲となった。また Ease 値との結合せが特徴的なものについては後述する。血清 Ease では喘息群16例中3例が異常高値であったが,異常低値をも3例が示しており,広いバラツキがみられた。異常最高値は若年型糖尿病幼児例が示し,同時に RNase は異常低値で,この両値の組合せは特徴的であった。同様の低 RNase・高 Ease 値を遅発性骨化石症乳児例も示し,逆の高 RNase・低 Ease 値は若年性関節リウマチ学童例および染色体異常・肝硬変・敗血症合併乳児例にみられた。そのほか高 Ease 値は Down 症候群のうち全身性血管炎・小類症合併乳児例,先天性胆道閉鎖乳児例,血管脂肪平滑筋腫思春期例,また低 Ease 値は遷延性腎炎2例中1例(幼児),ネフローゼ症候群2例中1例(学童)にみられた。血清α_1-At は異常高値を喘息性気管支炎および化膿性髄膜炎の各乳児1例が示したが,Ease 値との関係は認めなかった。他方,異常低値はネフローゼ症候群2例中1例(学童)が示し,同時にEase も異常低値を示した。白血球 RNase は血清低 RNase であった急性・慢性下痢3例(乳・幼児)が低値を示し,このうち急性下痢幼児例は,白血球 Ease で高値を示した。
北里大学の論文
1987-02-28

小児疾患における異常ribonuclease, elastase活性値の検討

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