第4編白血球adenosine deaminase, ribonuclease活性値の加齢的および治療的推移の比較(小児のプリン代謝系酵素の臨床的研究)

概要

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白血球ADAおよびRNase活性値の加齢的推移は既報のように,新生児は比較的高ADA・低RNase値を示し,日齢が進むにつれてADA値は低下,RNase値は上昇し成人値へ近づいてゆく。かかる両値の互に逆相関な推移と,小児各種疾患群の治療経過におけるそれらとを比較研究した。各種感染症群では,しばしばADA値上昇がみられ,また肺炎・膿胸・髄膜炎・急性脳症では回復期にRNase値上昇がみられた。これらのうちには加齢的推移と一致するものもあったが,さらに末梢白血球数・リンパ球数・好中球数の推移などをも総括すると,やはり治療経過としての推移と判定された。免疫抑制剤投与群のうち腎不全例では,ADA値は白血球数・リンパ球数が多数のものほど低値で,他方RNase値との間には特定の関係はなかった。消化器疾患群では,肝疾患例はしばしばADA値が上昇し,難治性下痢例はRNase値が低値〜高値にわたる変動を示した。内分泌疾患群では,若年性糖尿病例のADA値は血清カリウム値・血糖値の上昇と共に低下したが,この傾向は第3編の赤血球ADA値の場合と全く逆のものであった。なお同時に血清・白血球RNase値は反対に上昇傾向を示した。白血球ADA・RNase両値共に低値であったSilver-Russell症候群例は,著明な体重増加不良も示した。しかし先天性心疾患・体重増加不良群で,両値との同様な関係は認められなかった。
北里大学の論文
1984-02-29

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