腎機能障害児での発育成長について : 3症例での検討

概要

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腎機能障害児にあっては,その病変が,糸球体,尿細管(近位,遠位いずれでも)を問わず,長期にわたって存在する時,体液電解質代謝異常,酸塩基平衡異常,血液組成異常,そして栄養代謝異常を来たし,正常の発育成長は望めなくなって来る。従って病態に応じた食事指導や薬剤管理が必要となるが,管理・指導が遅れたり,適正でない場合,発育成長の遅延は不可避となるばかりか,病態は悪化の一途をたどることになる。この傾向は腎機能障害が高度となる程著明で,骨代謝障害を合併して来ると,まず治療困難になって来る。今回,報告する3症例の内,1例はすでに腎不全病態で置換療法(人工腎臓治療,腎移植治療)の対象になっており,発育成長の遅れは甚々しい。他の2例は,尿細管機能障害が主であるところから,食事指導,薬剤管理の早期導入,適正管理で何とか正常に近い成長を見ているが,将来共,正常に成長していけるかどうかについてはやや否定的である。これらの問題解決のためには,今後発育成長に関与する因子の究明と新たなる治療手段の導入が必要となろう。
北里大学の論文
1980-04-30