関係性の維持と個の主張に関わる問題 : 「甘え」とアサーションを指標として

概要

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本研究では, 関係性の維持の指標として「甘え」尺度を用い, 個の主張の指標としてアサーション尺度を用い, 両者とビッグ・ファイブおよび文化的自己観との関係を調べた.「甘え」とアサーションの相関はr=. 12であり, 実質的には無相関であるとみなされた.「甘え」はビッグ・ファイブのうちの神経症傾向, 外交性, 調和性, 誠実性と正の相関があり, 文化的自己観の相互独立的自己観とは負の, 相互協調的自己観とは正の相関があった. アサーションはビッグ・ファイブの神経症傾向とは負の, 外向性, 誠実性とは正の相関があった. また, 文化的自己観の相互独立的自己観とは正の, 相互協調的自己観とは負の相関があった. しかし, 「甘え」とアサーションを組み合わせた4群についてビッグ・ファイブと文化的自己観の下位尺度の得点を比べたところ, 期待したような群差は認められなかった. これらの4群において認められる差を示すような社会的に好ましい心理的特徴について, さらに追求する必要があると考えられる.
2004-10-29