「歯科口腔介護・演習」のカリキュラムへの導入

概要

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高齢社会を迎えている現在,口腔の健康は高齢者の健康増進に必須のものとなっている。したがって,口腔介護は障害のある高齢者の生活の質の向上に欠かすことはできない。しかし,今日の歯科衛生士はこのような高齢者の要望に応えうる十分な能力を身に付けているとはいえない。本研究は歯科衛生士のカリキュラムに口腔介護の講義・演習および臨床実習を導入した場合,学生にどのような効果をもたらすか,またどのような問題が生ずるかについて検討を行った。講義・演習には,公的保険制皮,歯科口腔介護の基礎,手順,手法を1学年後期に組み込み,その後,2学年全期にわたり3箇所の老人福祉施設における歯科口腔介護実習を取り入れた。その結果,以下のことが分かった。1) 学生は歯科口腔介護実習をとおして一般介護も学ぶことができた。2) 学生は高齢社会に関心をもつようになった。3) 学生は多くの高齢者と接することによって,人の心を理解するようになった。4) 制約された時間内でのカリキュラムへの導入はきわめて困難であった。5) 学生の負担は増加した。本結果は,現在の2年間の歯科衛生士教育制度を3年以上に延長する必要性を示唆するものである。