要介護者等の疾病および服用薬剤と口腔内不快症状の発現
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概要
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歯科衛生士が要介護者等の歯科治療や歯科口腔介護に関わる場合,事前に生活や健康状態等を把握する必要がある.筆者らは,要介護者等に口腔内不快症状を訴える者が多いことから,加齢に加え多疾病・薬剤服用も影響しているのではないかと考えた.介護保険制度下で筆者らが介護支援専門員として行った新潟市在住の要介護者等74名の介護認定調査に伴う主治医意見書より疾病の状態を,またアセスメント調査をもとに薬剤服用の実態,服用薬剤の口腔内副作用と発現頻度,対象者の口腔内不快症状について調査した.なお,口腔内副作用をより正確に表すため添付文書の発現頻度にスコア付けを行った.その結果,疾病分類での最多は骨・関節疾患が74人中52人(70.3%)であった.薬剤服用者は66人(89.2%)で,その平均服薬種類数は5.7種類,薬効別分類では血圧降下剤が66人中37人(56.1%)で最も多かった.添付文書に記されている口腔内副作用は口渇が他より著しく多かった.要介護者等の口腔内不快症状は,口が渇くが74人中29人(39.2%),口が粘つくが19人(25.7%)であった.また,口渇副作用スコアと口腔内不快症状には相関関係は認められなかった.さらに,口渇発現に関して薬剤服用群と非薬剤服用群との比較においても有意差は認められなかった.しかしながら,多疾患,薬剤の重複・長期連用は口渇等に深く関係すると言われていることから,要介護者等の口腔環境改善のために,薬剤投与にあたり医科と歯科が密接に連携していく必要性があることが示唆された.
- 明倫短期大学の論文
著者
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江川 広子
明倫短期大学歯科衛生士学科
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本間 和代
明倫短期大学歯科衛生士学科
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金子 潤
明倫短期大学 歯科衛生士学科
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金子 潤
歯科衛生士学科
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小林 梢
明倫短期大学 歯科衛生士学科
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江川 広子
明倫短期大学
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本間 和代
明倫短期大学教務部
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新井 俊二
明倫短期大学附属歯科診療所
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新井 俊二
高齢者歯科保健介護研究所
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山上 洋子
歯友会居宅介護支援センター
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