要介護者の世帯状況および心身の状態からみた歯科的支援の検討

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要介護者の歯や口腔の機能を維持・回復することは,QOLの向上や寝たきり予防に繋がると言われており,そのための歯科治療や口腔の管理は必要かつ重要であるが,その実践は介護者との関わりが大きく,容易ではない.そこで,要介護者の歯科的支援を検討することを目的に,著者らが介護支援専門員として関わる居宅介護支援センターの利用者103名を対象に,要介護者の心身および歯・口腔の状態,歯科治療や歯科口腔介護の必要性,介護の現状について調査し,世帯状況(独居・老人・二世代世帯)の違いから検討を行った.その結果,50.5%が独居・老人世帯であり,そこでの主介護者は介護員,配偶者が92.3%を占め,子供の関与は7.7%であった.また,要介護度は,独居世帯が低く,二世代世帯が重度化にシフトしていた.歯科治療や歯科口腔介護の必要性は世帯間に差はみられなかったが,二世代世帯において歯科受療行動の実現度は低かった.また,要介護者の通院困難理由は,肉体的困難,通院手段確保困難,精神的困難の順に多く上げられたが,3世帯間に差はみられなかった.これらの実態より,二世代世帯において,要介護者の歯科受診が難しいことが分かった.これは介護者の58.8%が勤務している現状や介護度の高い要介護者が多いことが主な原因と思われる.また,通院困難理由から,医科の主治医と連携した歯科訪問診療や居宅療養管理指導の実施,搬送システムの早期確立,歯や口腔機能の啓蒙などかかりつけ歯科医,歯科衛生士の積極的関与が重要であることが明らかになった.
明倫短期大学の論文

要介護者の世帯状況および心身の状態からみた歯科的支援の検討

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