う蝕経験と唾液因子群の関連性に関する研究

概要

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う蝕は多くの要因が複雑に関与して発症すると言われているが,初発を直接決定づけるものは歯表面の状態(pH変化)であり,歯表面のpH変化に直接的影響を与えるものは唾液性状である。う蝕多発期直後にあたる20才(前後)の女子学生66名を被検者として,う蝕経験(DMFT)とPlaque Control Record (PCR),唾液分泌量,唾液緩衝能,唾液中のストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus mutans)菌数と乳酸桿菌(Lactobacillus)数を説明変数とする重回帰モデルから重相関係数,偏相関係数などを求めた結果,挙げられた5因子との間の重相関係数には高い数値を得られなかった(R2=15.7%)。また,DMFTとの高い偏相関を示す変数も見い出すことはできなかった。すなわち,う蝕発症に最も関わりが深いと考えられる変数群から構成される寄与因子解析モデルを設定した結果は以上のごとくであり,う蝕病因論に基づいて,個々の歯質,口腔環境,ライフスタイルなどをさらに深く考察することが必要とされるのではないかと思われる。
明倫短期大学の論文