合成トリプシンインヒビターによるラットの切除膵再生促進機序における実験的研究

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合成トリプシンインヒビター,FOY305の膵再生促進機序を解明する目的で,ラットを用いFOY305投与経路として,十二指腸通過群,十二指腸非通過群,及び腹腔内投与群の各群を作成し,60%膵切除後の残存膵における再生を比較検討した。また,FOY305投与の臨床的応用を図るため,その具体的方法論も検討した。膵再生能の指標として残存膵重量,総蛋白量,総DNA量,および膵外分泌能を測定検討した。その結果,FOY305十二指腸通過群では3週後ILは全ての指標において,他の投与経路群と比べ有意に増加がみられ,FOY305の十二指腸通過により膵の再生促進がおこり,その機序として消化管ホルモンの介在が示唆された。次に,FOY305の膵再生促進効果と,膵液,胆汁との関連を検討するために膵液,胆汁を直接小腸まで誘導し,同様の観察を行ったが,膵重量で増加がみられたものの,残存膵総蛋白量及び, DNA量においては,差は認められず,FOY305が十二指腸内の消化管ホルモンを直接刺激して膵再生を促進すると考えられた。更に,消化管再建様式による影響を見るため,BillrothIおよびII法群を作成し,膵再生能の比較検討をした。その結果,膵切除後,BI群では, BII群に比し有意に膵再生能の亢進がみられ,臨床的に,膵切徐後の消化管再建術式として食物が十二指腸を通過する術式を選ぶことがFOY305投与による膵再生を期待する上に重要であると考えられた。
神戸大学の論文

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