インヒビン免疫を行った黒毛和種牛における追加免疫およびプロスタグランディンF_2αの併用が卵巣機能に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
組換え体ヒツジインヒビンαサブユニットを抗原とした能動免疫は,ウシで複数の発情卵胞の発育と複数排卵を連続した発情周期で誘起することをすでに報告した。本研究では,インヒビン免疫により誘起される卵巣反応を効率的に維持および反復させるために,免疫効果の持続期間の延長と免疫牛における発情周期の短縮について検討した。組換え体ヒツジインヒビンαサブユニットを免疫した4頭の黒毛和種牛について,初回免疫後7カ月の間,2-3回の追加免疫を行い,その後の卵巣反応を調べた。さらに最終追加免疫後2カ月の間,プロスタグランディンF2αを併用し,その後の卵巣反応と発情周期日数を調べた。対照牛の5頭にはアジュバントのみを投与した。卵巣の変化は直腸検査ならびに超音波画像により追跡した。2回目の追加免疫後における発情時の卵胞数とその後の黄体数は,それぞれ17.2±3.6,9.6±2.9(最小自乗平均値±標準誤差,n=6)であり,1回目の追加免疫後(3.0±2.8,0.8±2.2,n=9)と比較して有意(発情時の卵胞数 ; P<0.01,黄体数 ; P<0.05)に増加した。さらに,3回目の追加免疫後,2回目の追加免疫後と同等の卵巣反応が再度誘起された。インヒビン免疫牛の発情周期日数(43.0±5.2,n=8)は,複数の黄体形成を原因として,対照牛(23.1±4.7,n=10)より有意(P<0.01)に延長した。しかし,プロスタグランディンF2αを併用した結果,発情時の卵胞数,黄体数を変化させることなく発情周期を対照牛と同等(18.4±5.2,n=8)まで短縮させることが可能であった。以上のことから,インヒビン免疫を行った黒毛和種牛において,追加免疫により長期にわたって複数排卵を反復して誘起させることが可能であり,さらにプロスタグランディンF2αの併用により卵巣反応に影響を及ぼすことなく発情周期を短縮させることが可能であった。
- 2003-12-30
著者
-
門司 恭典
東京農業大学農学部畜産学科
-
百目鬼 郁男
東京農業大学農学部畜産学科
-
島田 和宏
農林水産省畜産試験場
-
高橋 政義
畜産草地研究所
-
門司 恭典
東京農業大学
-
百目鬼 郁男
東京農業大学農学部畜産学科家畜繁殖学
-
百目鬼 郁男
東京農業大学 農学部畜産学科家畜繁殖学
-
竹之内 直樹
農林水産省中国農業試験場(農業・生物系特定産業技術研究機構東北農業研究センター)
-
大島 一修
農業・生物系特定産業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター
-
高橋 政義
農林水産省中国農業試験場(農業・生物系特定産業技術研究機構畜産草地研究所)
-
島田 和宏
畜産草地研究所
-
竹之内 直樹
東北農業研究センター
-
大島 一修
近中四国農業研究センター
-
島田 和宏
農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農研セ
-
高橋 政義
農林水産省・畜産試験場・繁殖部
-
大島 一修
近畿中国四国農研セ
-
竹之内 直樹
農林水産省中国農業試験場
-
島田 和宏
農林水産省中国農業試験場
関連論文
- 高温環境下の雄牛へのL-カルニチン給与が精子活性維持に及ぼす影響(研究論文紹介)
- 高温環境下の雄牛へのL-カルニチン給与が精子活性維持に及ぼす影響
- 暑熱環境下の種雄牛へのL-カルニチン給与が精液性状に及ぼす影響(日本家畜管理学会・応用動物行動学会2008年度春季合同研究発表会)
- ラマ属家畜被毛の形態について
- ラマおよび乳牛の反芻行動の差異について
- ラマ属家畜の国内における飼育管理状況について
- 黒毛和種の枝肉形質に対する母性効果の影響
- 市場記緑を利用した黒毛和種の哺育能力推定に関する検討
- 黒毛和種の枝肉形質に対する母性効果の検討
- 黒毛和種の子牛市場出荷時体重と枝肉形質に及ぼす各種要因の影響
- 子牛の市場出荷時体重を利用した黒毛和種の遺伝的泌乳能力の推定(第4報)アニマルモデルによる母性遺伝効果の遺伝率・育種価の推定
- 子牛の市場出荷時体重を利用した黒毛和種の遺伝的泌乳能力の推定(第3報)子牛・枝肉市場記録に影響を及ぼす各種要因
- ミニチュアブタにおける血漿中コルチゾールの酵素免疫測定法
- 超音波画像診断によるミニチュアブタの卵巣の観察および早期妊娠診断
- ミニチュアブタの発情期における腟内電気抵抗値,腟垢像および血漿中性ステロイドホルモン濃度の変化
- ミニチュアブタにおけるプロスタグランジンF_の腟前庭粘膜下投与による発情誘起
- ミニチュアブタの黄体開花期におけるプロスタグランジンF_2α連続投与が血中性ステロイドホルモン濃度および腟内生理諸性状に及ぼす影響
- ミニチュアブタにおけるプロスタグランジンF_を用いた発情同期化法の検討
- 暑熱環境下の雄豚へのL-カルニチン給与が精液性状に及ぼす影響
- ウサギの精液性状と乗駕行動に対するCPおよびTDNの影響
- 雄豚飼料へのL-カルニチン添加が夏期の精子活力に及ぼす影響
- ラマ属家畜の血液タンパク質および酵素の多型
- ブタ床前期胚の体外培養 : 受精後12日目のブタ胚の体外培養方法確立の試み
- 凍結希釈液へのイクラ由来の脂質の添加が豚精子の性状に及ぼす影響
- 成熟時間が豚卵子透明帯への精子接着性に及ぼす影響
- テストステロンおよびエストラジオールの成熟培地への添加がY染色体を有した精子の透明帯への接着性に及ぼす影響
- 経皮吸収エストラジオール利用が黒毛和種経産牛の過剰排卵成績に及ぼす効果
- 形態から卵巣萎縮と推定されたウシの卵胞発育状態
- ブタにおける精子処理および共培養時間が透明帯接着精子のY染色体を有する精子比率に及ぼす影響
- 単独および混合精液を用いた豚人工授精における繁殖成績と精液性状について
- 豚における背脂肪厚が次回の産子数に及ぼす影響
- 卵胞膜細胞と顆粒層細胞との共培養がブタ卵子の体外成熟及びその後の受精能に及ぼす影響
- 異なる卵胞サイズに由来する卵胞液の添加がブタ卵子の成熟及び受精に及ぼす影響
- インヒビン免疫を行った黒毛和種牛における追加免疫およびプロスタグランディンF_2αの併用が卵巣機能に及ぼす影響
- ヒツジインヒビンαサブユニットの能動免疫が黒毛和種牛の卵巣機能に及ぼす影響とその過排卵誘起処置および双子生産への適応性
- 人工授精後12日目のGnRH製剤(ブセレリン)投与が牛の受胎率に及ぼす影響
- 抱卵岐阜地鶏の卵巣機能に及ぼす絶食処理の影響
- 岐阜地鶏雄に対する明期における緊縛ストレスが血漿コルチコステロン濃度に及ぼす影響
- マイクロプレートを用いた雄シバヤギ血漿中テストステロンの酵素免疫測定法の検討
- マイクロプレートを用いた雄シバヤギ血漿中5αジヒドロテストステロンの酵素免疫測定法
- 牛における人工授精時の性腺刺激ホルモン放出ホルモン投与が受胎に及ぼす影響
- 雌鶏の下垂体前葉におけるメラトニン・レセプターの存在
- ウズラの精巣におけるメラトニン・レセプターの存在とその結合親和性と結合容量の昼夜による差異
- 雌鶏の視床下部の視索前野領域および正中隆起部領域におけるメラトニン・レセプター : その存在の立証と平衡解離定数ならびに最大結合容量の変動について
- 黒毛和種肥育牛飼養管理プログラムの開発
- 黒毛和種肥育牛に関する研究情報とフィールド情報を利用した養分要求量推定プログラムの開発
- スカンジウム(Sc)を指標とする放牧牛の土壌摂食量の推定とその意義
- 土壌-植物-家畜系におけるセレンの動態について
- 牛,山羊,豚精液の凍結保存に関する研究-2-凍結保存処理過程における精子形態の変化
- 牛,山羊,豚精液の凍結保存に関する研究-1-凍結保存処理過程における精子の生存性ならびに代謝能の畜種間比較
- 肥育豚に関する窒素排泄量予測モデルの開発とシミュレーション
- 同一の抗血清と酵素胞合体を用いた牛の血漿中estroneおよびestradiol-17β高感度酵素免疫測定法の開発(臨床繁殖学)
- ウシ子宮内膜細胞の培養方法 : 形態的・機能的極性を有した培養方法の試み
- 黒毛和種の子牛の発育に対する母性遺伝効果の育種価と実測乳量の関係
- 黒毛和種の子牛の体重に対する母性効果の影響
- 豚部分肉の流通に基づく部位別自給率と現行制度の検討
- 肉用繁殖雌牛の分娩前後におけるボディーコンディションスコアに影響を及ぼす要因及び泌乳量との関係
- 近赤外スペクトルによるウシ血漿コレステロールの予測
- 近赤外スペクトルによるウシ血漿コレステロールの予測
- 黒毛和種の枝肉形質に対する母性効果の影響
- 正常あるいは奇形胎子を娩出した母牛の妊娠中性ステロイド値の変化
- ブタ卵母細胞の体外成熟における核相およびキナーゼ活性の経時的変化
- マイクロプレートを用いた牛血漿中エストラジオール-17β の酵素免疫測定法
- 性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁物質を持続投与されたウシにおける,卵胞刺激ホルモン及びウマ絨毛性性腺刺激ホルモン投与後の血中ステロイドホルモン動態(細菌学)
- 単胎及び双胎妊娠牛の血中エストロンサルフェート濃度の消長(短報)
- 母性効果の影響を受ける形質の遺伝的改良に対するメイトセレクションの利用
- 母性効果の影響を受ける形質の遺伝的改良に対するメイトセレクションの利用
- リアルタイムRT-PCR法によるマウス片親性胎仔におけるインシュリン様成長因子II型(lgf2)遺伝子の定量的インプリント発現解析
- ブタ未成熟卵子に対する Butyrolactone-I の卵核胞崩壊抑制効果
- ブタ未成熟卵子に対する Butyrolactone-I の卵核胞崩壊抑制効果
- 豚の生殖制御に関する研究
- 新生仔マウス卵巣からの成熟卵子の作出
- 妊馬血清性性腺刺激ホルモンの牛に対する黄体機能賦活効果の検討
- 選抜計画における近交度抑制方法の比較 : Triboliumを用いた実験による検討
- 選抜計画における近交度抑制方法の比較 : Triboliumを用いた実験による検討
- 子牛の唾液腺におけるIgA産生能の発達
- 肉用種雌牛の加齢にともなう血清と初乳の免疫グロブリン濃度の推移
- 肉用牛の吸乳行動に及ぼす品種,子牛日齢,性,産次,季節の影響
- 放牧飼養における黒毛和種繁殖牛の分娩後の繁殖性に及ぼす年次,季節,産次,産子の性,乳量の影響
- ブタ卵子の成熟中における透明帯-精子接着性の変化
- ウシ初期卵胞卵子の体外発育条件に関する研究 : タンパク・FSH・エネルギー源の最適濃度の検討
- 発生培地への添加血清の種類が牛体外成熟•体外受精卵の胚盤胞への発生に及ぼす影響
- ウシの月齢が顆粒層細胞の増殖活性とテロメア長に及ぼす影響
- ウシ卵管上皮と精子の接着はATP産生を抑制し活力を維持する
- マイクロプレートを用いた牛血漿中エストラジオール-17βの酵素免疫測定法
- 牛の誘起多胎-2-PGF2αによる発情同期化後のFSHおよびPGF2α併用の誘起多胎
- 肉用牛の採食量に及ぼす品種,放牧地条件の影響
- 肉用牛における母牛の乳量と子牛の吸乳行動の関係
- 黒毛和種における母•子牛の採食,佇立,横臥,吸乳時間に及ぼす母牛の乳量の影響
- 血清蛋白質型4座位による無角和種(B1)の遺伝的分析
- 黒毛和種雌牛の生涯的な繁殖能力
- 黒毛和種におけるκ-カゼイン遺伝子型と泌乳性について
- ウシの月齢が顆粒層細胞のグルタチオン含量とp38 MAPKのリン酸化に及ぼす影響
- ウシの加齢が卵子と初期胚のヒストンのアセチル化状態, 遺伝子発現, そして体外発生能力に及ぼす影響
- 加齢がウシ初期胞状卵胞に及ぼす影響
- Y染色体を有したウシ精子の透明帯接着における選択的優位性について
- 黒毛和牛の加齢が卵子中のATP含量と受精率に及ぼす影響
- 培養条件の違いがウシ8細胞期胚および胚盤胞期胚のヒストンアセチル化状態に及ぼす影響
- ブタ卵巣の保存が卵子中のミトコンドリアDNAコピー数に及ばす影響
- 成熟培地へのレスベラトロールの添加は加齢ウシ由来の体外受精成績を改善する