牛における人工授精時の性腺刺激ホルモン放出ホルモン投与が受胎に及ぼす影響

概要

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一般畜産農家,公共牧場および本学富士畜産農場で飼育されている雌牛418頭に人工授精と同時に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH,ブセレリン)を6,10および20μgを投与し,無処置対照群のそれと受胎率について比較した。また,本剤の投与効果を判定するために血漿中プロジェステロン濃度を測定し,黄体機能への影響についても検討した。その結果,ブセレリン6,10および20μg投与のいずれの群においても受胎率は対照群のそれよりも7.6〜9.2%と高い成績が得られた。次いで,空胎期間の短い区(120日未満)と長い区(120日以上)に分けて検討したところ,空胎期間の長短に関係なく受胎率は投与群の方が対照群よりも高い傾向を示した。さらに,投与回数を1回と2回に分けたところ,1回目の投与での受胎率は,各投与群と対照群の間に有意差はなかったが,2回目の投与では投与群の受胎率は対照群よりも16.4〜47.6%改善され,特に10μg投与群での受胎率は85.7%で対照群および6μg投与群よりも有意(P<0.05)に高いことが認められた。従って,受胎しにくい牛に対するブセレリン投与の効果が顕著に現れた。
東京農業大学の論文
2002-12-20