高温環境下の雄牛へのL-カルニチン給与が精子活性維持に及ぼす影響

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本研究は高温環境下にいる雄牛にエネルギー代謝を高めて肉体的なストレスを緩和すると考えられるL-カルニチンを給与し、その精子活性に及ぼす影響を確認する目的で行った。ホルスタイン種の6頭の雄牛を本試験に用いた。試験飼育を開始する前に、精液性状をあらかじめ確認し、同等の精子活性となるように6頭の雄牛は対照区とL-カルニチンを給与する試験区の2区に割り当てた。両区の雄牛に給与する飼料の組成と量は同等であるが、試験区には最終的な濃度が飼料中50ppmとなるように1日当たり0.9gのL-カルニチンを添加した。試験飼育は8月1日に開始し、9月30日に終了した。精液の試験的採取は9月5日と30日の2回実施した。さらに、凍結保存へのL-カルニチン添加の影響を確認するために融解精子の活性を観察した。第1回目の精液採取時に、試験区の平均精子活性は対照区よりも約10%高かった。第2回目では試験区の平均精子活性は対照区よりも約15%高かった。いずれの成績においても有意差は認められなかった。本成績は高温環境下で低下したL-カルニチン代謝をL-カルニチン添加が補ったかもしれないことを示唆した。L-カルニチンの添加は暑熱ストレスによる精子活性の低下を抑制した。この傾向は液体窒素に保存し、融解した精子の活性において顕著であることが認められた。高温環境下の精子活性の差は精子の成熟の差によるものと考えられた。試験区の異常精子率は対照区よりも低く、雄牛へのL-カルニチンの添加は精子の成熟に良好に作用し、高温環境下でも通常の精子活性を維持すると推察された。
日本家畜管理学会の論文
2008-12-25

高温環境下の雄牛へのL-カルニチン給与が精子活性維持に及ぼす影響

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