食糞行動の阻止時間の相違がラットの成長におよぼす影響

概要

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本試験では,食糞行動の阻止時間の違いがラットの成長に与える影響を知るため,食糞行動阻止ケージを使用して,24時間阻止,夜間12時間阻止,昼間12時間阻止および行動を全く制限しない自由行動(対照区)の4条件下でのラットの成長について検討した。供試ラットは,SD系4週齢の雄性を21匹用いた。ラットは対照区・昼間阻止区・夜間阻止区の各々に6匹,24時間阻止区に3匹配分した。食糞阻止ケージに収容していないラットは,試験中市販のラット飼育ケージに単飼し,室温23土1℃で,照明1日12時間の(9 : 00〜21 : 00を明期,21 : 00〜9 : 00を暗期)明暗周期とした調温室内で28日間飼育した。供試飼料は市販のラット維持繁殖用固形飼料を給与し,飼料の摂取,飲水は自由とした。本試験において対照区ラットの増体量に比べ食糞行動を阻止した3区の成長は低くなった。食糞行動を阻止した3区の間では,24時間阻止区が昼間阻止区,夜間阻止区に対して増体量が少なかった。飼料摂取量については,対照区に比べ,食糞行動を阻止した3区がいずれも有意に低い値を示したが,食糞行動を阻止した3区間には差は少なかった。また,飼料効率については,対照区に比べ,食糞行動を阻止した3区がいずれも有意に低く,食糞行動を阻止した3区の間では,24時間阻止区が昼間阻止区と夜間阻止区に対して有意に低い値を示した。総糞量は,対照区に比べ,食糞行動を阻止した3区が有意に低い値を示したが,これは飼料摂取量に対応して増減するものと考えられた。含水糞量並びに,含水糞量の総糞量に対する割合で明らかなように,食糞の阻止によって,採食できなかった含水糞が多いラットほど成長の低下が認められ,食糞行動の頻繁な夜間を阻止する方が昼間阻止するよりも含水糞の摂取量が少なくこれが成長に若干強く影響したものと考えられた。これらのことからも,含水糞の摂取は栄養補給の面で重要であり,従来の全糞採取法による比較と異なり含水糞として分類した糞に含まれる微量栄養素量を検討する必要性が認められた。
東京農業大学の論文
2001-09-29

食糞行動の阻止時間の相違がラットの成長におよぼす影響

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