人工授精後12日目のGnRH製剤(ブセレリン)投与が牛の受胎率に及ぼす影響

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畜産農家,公共の牧場および本学富士畜産農場で飼育されている雌牛307頭に人工授精後12日目に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH : ブセレリン)を6,10,20μg投与し,受胎率について無処置対照群のそれと比較検討した。その結果,ブセレリン投与群の受胎率は対照群の60.0%に比べ10および20μg投与群ではそれぞれ72.3および68.6%と高い値が得られた。次いで,空胎期間の短い群(120日未満)と長い群(120日以上)の2群に分けて検討したところ,短い群の受胎率は対照群の59.0%に比べいずれの投与群とも高い値が得られ,長い群では対照群の63.2%に比べ6μg投与群で51.7%と低い値を示した。しかし,10および20μg投与群で70.0および69.0%といずれも高い傾向がみられた。また,投与回数を1回と2回に分けて検討したところ,1回投与での受胎率は,対照群の59.2%に比べ10および20μg投与群では高い傾向が認められ,特に10μg投与群では73.3%と高い値であった。2回投与での受胎率は対照群の66.7%に比べると10および20μg投与群では高く,特に20μg投与群では81.0%と高い値であった。さらに,治療歴を有する牛群への投与効果については,対照群の25.0%に比べ各投与群で57.1,36.4,52.9%と高い受胎率が得られた。以上の成績より,牛において人工授精12日目のブセレリン投与は,受胎率を向上させることが示唆され,ブセレリン10μg投与量での効果が20μg投与と同等あるいはそれ以上であった。特にリピートブリーダーなどを含む受胎しにくい牛に対するブセレリン投与効果が高いことが示唆された。
東京農業大学の論文
2003-09-30

人工授精後12日目のGnRH製剤(ブセレリン)投与が牛の受胎率に及ぼす影響

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