成長ステージが異なるラットの栄養吸収に対する盲腸の役割

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本試験は栄養素の消化・吸収に対する盲腸の役割を成長ステージの異なるラットで比較することを目的として行った。盲腸を摘出したラット(盲腸摘出区)と疑似開腹のラット(対照区)を,成長期(6-13週齢時)と維持期(14-22週齢時)にわたる16週間の成長試験と,成長期終了時(13週齢時)と維持期終了時(22週齢時)に全糞採取法による消化試験を実施した。成長期の増体量は対照区と盲腸摘出区で差が認められなかったが,維持期は,盲腸摘出区が有意(P<0.05)に低かった。飼料摂取量は,成長期に盲腸摘出区が有意(P<0.05)に高かったが,維持期は両区間に差は認められなかった。飼料効率は,試験期間を通じて,盲腸摘出区が有意(P<0.05)に低く,維持期ではその差は飼料効率との相対比が30から40%と大きかった。糞重量は,逆に試験期間を通じて盲腸摘出区が有意(P<0.05)に高かった。結腸容積は,成長期に盲腸摘出区が有意(P<0.05)に大きくなったが,維持期には差が認められなくなった。CP, ADFならびエネルギー消化率は,成長期では,盲腸摘出区で有意(P<0.05)に低くなった。維時期では,CPの消化率は,両区間の差は認められなかったが,ADFならびにエネルギーの消化率は,盲腸摘出区で有意(P<0.05)に低くなった。以上の結果から,盲腸は繊維を発酵分解する微生物の棲息場所として重要で,これによる栄養素の消化・吸収にも影響を及ぼすことが示唆された。また,維持期の飼料効率に関して試験区間の数値的な差は成長期と同等であったが,その差は飼料効率に相対して大きくなり,盲腸は栄養素の利用に消化・吸収に先駆けて関係していると推察された。
東京農業大学の論文
2005-09-30

成長ステージが異なるラットの栄養吸収に対する盲腸の役割

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