発話の感情価が顔面表出に及ぼす影響 : 視線と表情に関する予備的検討(顔とコミュニケーション及び一般)

概要

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社会的相互行為において、話者の視線方向や表情は様々な情報を聞き手に与える。本研究は、自分の感情的な体験(感情エピソード)についての発話が話し手の視線方向と表情表出にどのように影響するか検討した。39名の学部生が、3つの感情エピソード(怒り・嬉しさ・悲しみ)と、統制条件の感情を交えない中性エピソードをプロンプタ内のモニタに映る聞き手に向かって話し、そのときの顔面表出をビデオ録画した。嬉しさのエピソードにおいては、統制条件に比べて聞き手への直視が増加した。怒り・悲しみのエピソードでは統制条件と差がなかった。エピソードの種類にかかわらず、ポジティブな表情(AU6;頬を上げる)がよく観察され、ネガティブな表情(AU4;眉を寄せる, AU1;眉の内側を上げる)はほとんど観察されなかった。嬉しさエピソードの発話はポジティブな表出を強化させたが、怒り・悲しみエピソードの発話ではそうした効果がなかった。また、ポジティブな表情は直視を伴いやすく、ネガティブな表情は直視を伴いにくいという傾向が示唆された。
2005-10-27