日本人両側扁桃体損傷患者の表情認識障害

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概要

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神経心理学的研究から, 扁桃体の損傷が恐怖表情の認識障害をもたらすことが報告されている.しかし, 報告例は少なく, また否定的な知見も報告されており, 扁桃体損傷が表情認識にもたらす影響については, 依然結論が得られていない。今回我々は, 日本人の両側扁桃体損傷患者を対象とした初の実験により, この問題を検討した.統制群として, 健常者統制群(n=15)・脳損傷統制群(n=9)との比較を行った.表情について, 言語ラベルとのマッチングを求めるという手法でテストした.正答数・エラー数について分析した結果, 扁桃体損傷患者における恐怖表情の認識は, 健常者よりも低く, また脳損傷統制群と比較しても特異的なパターンであることが示唆された.怒り表情のエラー分析でも, 扁桃体損傷者の特異的なパターンが示された.これらの結果は, 扁桃体損傷がヒトにおいて普遍的に恐怖を中心とする不快な表情の認識障害を招くことを示唆する.
社団法人電子情報通信学会の論文
2000-11-27

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