乳牛乳腺のプロティンキナーゼC(PKC)基質である21kDaタンパク質リン酸化は,スルファチドで阻害されるが,その阻害はホスファチジジルセリンにより回復される(生化学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
スルファチドはスフィンゴ脂質の1種で,乳腺に多く存在する.また,プロティンキナーゼC(PKC)は乳腺に豊富に分布する.乳牛乳腺に内在するPKC基質のリン酸化に対するスルファチドの効果を調べた.主要な乳腺サイトゾルの内在性PKC基質として,21kDa, 43kDa, 56kDaタンパク質が検出された.その中で,21kDaタンパク質リン酸化はスルファチドで阻害されたが,56kDa, 43kDaタンパク質リン酸化は,スルファチドによって逆に増強された.他のスフィンゴ脂質(スフィンゴシン等)は,スルファチド同様,56kDa, 43kDaを増強したが,スルファチドとは異なり,21kDaを阻害しなかった.スルファチドによる21kDaタンパク質リン酸化阻害は,過剰なホスファチジルセリン添加により回復されたが,ジアシルグリセロール,カルシウムよっては回復されなかった.また,56kDa, 43kDaリン酸化の増強は,ホスファチジルセリン,ジアシルグリセロール,カルシウムによっては影響されなかった.スルファチドは,乳腺のPKC基質,特に21kDaタンパク質と膜脂質の結合を密接に調節することが示唆された.
- 2004-07-25
著者
関連論文
- エチオニン投与によって誘導された脂肪肝牛における血清ApoC・III濃度の減少(内科学)
- 牛分離肝実質細胞のプロティンキナーゼC及びその内在性基質
- スフィンゴシンは乳牛乳腺の核内プロティンキナーゼCによる基質タンパク質リン酸化を調整する(生化学)
- 乳牛乳腺のプロティンキナーゼC(PKC)基質である21kDaタンパク質リン酸化は,スルファチドで阻害されるが,その阻害はホスファチジジルセリンにより回復される(生化学)
- プロティンキナーゼCによる牛乳房アネキシンIのリン酸化はメリチンによって阻害される(生化学)
- 乳牛の脂肪肝および脂肪肝関連疾病とアポリポタンパク質
- 脂肪肝, ケトージス, 第四胃変位, 乳熱, 胎盤停滞の乳牛では血清アポリポタンパク質C-III濃度が減少していた
- アポリポタンパクC-IIIは正常牛では高密度リポタンパク画分に局在するが, 高脂血症牛では高密度リポタンパクよりもキロミクロンに多く検出される
- パスツレラ・ヘモリティカおよびBHV-1を投与して作成した仔牛では高密度リポタンパク質中のアポリポタンパク質C-III濃度が減少していた
- 牛のリポタンパク質画分には14キロダルトン血清アミロイドAに免疫学的に関連した2種類の低分子量タンパク質が存在し, これら2種類のタンパク質の血清濃度は実験的肺炎で減少する
- SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で示された正常乳と乳房炎乳の異なるタンパク質パターン
- 牛乳房炎乳の乳酸脱水素酵素アイソザイムの起源についての白血球の寄与
- 出産時の乳牛血清中へのハプトグロビンの出現(短報)
- エチオニン投与による牛血清ハプトグロビンの誘導
- Pasteurella haemolytica及びbovine herpes virus-1を投与して作成した実験的肺炎牛での血清レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ活性とコレステロールエステル濃度の低下
- 牛のレチノール輸送形態の検討および牛血清レチノール結合タンパク質の精製
- 牛の apolipoprotein C-III-リポタンパク質中の分布および乳熱での濃度低下
- 牛血漿アポリポ蛋白貿E:絶食に伴うアポE濃度増加とリポ蛋白内分布
- 仔牛を絶食させると血清のアポリポタンパク質AIとB-100濃度が減少し, ハプトグロビンと血清アミロイドAが誘導された(生化学)
- 乳牛乳腺サイトゾルに局在する21-kDaプロティンキナーゼC基質タンパク質は平滑筋ミオシン軽鎖MLC20に類似している(生化学)
- 豚精巣のサイクリックヌクレオチド非依存性ホスビチンキナーゼのゴシポールによる阻害
- エンザイムイムノアッセイ及び2次元電気泳動による牛高密度リポタンパク質画分のハプトグロビンの解析
- 乳牛のケト-ジスと乳熱は出産前後に発症したが, これらの牛の血清レシチン : コレステロールアシルトランスフェラーゼ活性は発症前の乾乳期に既に低下していた
- 牛の生産病とレシチン : コレステロールアシルトランスフェラーゼ
- ヨーネ病牛における血清アポリポタンパク質A-I濃度の減少
- BHV-1ウイルスを仔牛の肺に投与すると,肺洗浄液中にアネキシンIとIVが検出された
- 脂肪肝牛の血清中35Kタンパク質
- 健康牛の血清アポリポタンパク質B-100とA-I濃度の成長,乳期および性別による変化
- 牛の脂肪肝の早期診断法
- 牛アポリポタンパク質C-IIIの周産期および乳熱での濃度変化
- 乳牛のアポリポタンパク質C-IIIは高密度リポタンパク質画分の他, キロミクロンと超低密度リポタンパク質画分に検出される(短報)
- 炎症とリポタンパク質--仔牛の実験的肺炎をモデルとして
- 実験的肺炎牛及び野外例の脂肪肝牛血清より分離した高密度リポタンパク質と超高密度リポタンパク質画分にハプトグロビンが検出された
- 牛胎盤と宮阜のプロティンキナーゼCとエストラジオールレセプターを介する情報伝達系
- ラット脾臓のII型エストラジオールレセプター濃度の妊娠中の増加
- 分光光度計を使用するだけの牛血清中ビタミンAの簡易かつ安価な測定法
- カゼインを基質として分解する能力を持つ牛乳中のシスティンプロテアーゼ及びその活性の乳房炎における増加