酪農家における搾乳作業能率の検討

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酪農家における搾乳作業の実態、搾乳作業能率とそれに影響を及ぼす要因について検討する目的で、札幌近郊酪農家9戸について調査を行い、次の結果を得た。1)1分間当りの搾乳量で示した搾乳作業能率は、全体1.2〜3.1kg、作業者1人当り0.6〜1.2kg、ユニット1台当り0.6〜1.9kgで農家間にかなり差がみられた。2)1頭当り搾乳作業別所要時間は、総搾乳時間が4.7〜10.1分、平均6.4分であり、うち後搾り時間は2.0〜7.8分、平均3.7分で総搾乳時間の57.4%をしめた。平均搾乳速度は0.9〜1.9kg/分であった。搾乳前処置から搾乳開始までの時間は0.2〜13.3分と農家間に大きな差があった。農家間に作業能率の差が生じた原因としては、主として前処置から搾乳開始までの時間および後搾り時間の差が考えられた。3)乳量と搾乳時間の相関から農家に次の三つの傾向が認められた。すなわち乳量の多少と搾乳時間の長短があまり関連のない農家、個体間では乳量と搾乳時間に関連が認められているが個体内では認められない農家、および個体内, 個体間とも乳量と搾乳時間に関連の認められる農家があった。4)搾乳作業能率の低い農家では、連続4回の搾乳時における各搾乳時間の変動幅が大きく、技術的不安定さを示していた。5)乳牛個体の搾乳性向上によって搾乳時間を短縮し得る可能性が認められた。すなわち搾乳性の悪い個体の乳量補正平均搾乳速度を、牛群の〔平均値一標準偏差〕または平均値まで引きあげることによって、搾乳時間を2.2〜8.8分(1.8〜10.5%)および14.2〜27.7分(11.7〜31.2%)短縮し得る可能性が認められた。
日本家畜管理学会の論文
1979-10-30

酪農家における搾乳作業能率の検討

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