吸光度測定による蚊の吸血後の経過時間推定
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概要
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蚊の吸血後の経過時間を推定する目的で蚊の抽出液の280mμ(蛋白帯)と410mμ(Soret帯)の吸光度を測定した.蚊の吸血後の時間経過に伴ない410mμの吸光度は急激に減少するが, 280mμの吸光度は変化が少なく, そしてLogOD_<410mμ>/OD_<280mμ>(対数吸光比)が経過時間と直線関係にあることが認められた.ネッタイシマカにマウスを吸血させ25℃で飼育した2回の実験では対数吸光比(Y)と時間(t)の相関係数(r)は-0.953, -0.969と高く, 回帰式はY=-0.0134t+0.414, Y=-0.0132t+0.422であり, ネッタイシマカに人を吸血させた結果は, r=-0.948, Y=0.0106t+0.459, コガタアカイエカと人血ではr=-0.874, Y=-0.0089t+0.372であつた.回帰直線は蚊の種類と吸血源の種類によつてかなりの差が認められた.各時間の対数吸光比の蚊の個体変異は大きく, 従つて蚊個体別の経過時間は確実には推定出来ないが, 相関係数が高い所から集団としての吸血活動の推定などの生態研究には利用価値があるものと考えられる.吸血された血液の沈降反応を見た結果, コガタアカイエカの方が, ネッタイシマカより低い吸光比となるまで反応陽性であつた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1969-07-10
著者
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田中 寛
Jica
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佐々 学
東京大学医科学研究所寄生虫研究部
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和田 芳武
東京大学医科学研究所寄生虫研究部
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田中 寛
東京大学医科学研究所寄生虫研究部
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三浦 昭子
東京大学医科学研究所寄生虫研究部
-
田中 寛
東京大学医科学研究所
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