ハブならびにハブ咬症に関する研究 (Tr.-3) : ハブの行動解析, 特に照度との関係について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) ハブを室内に置いた時の行動は警戒, 攻撃, 逃避, 直進及び彷徨, 休息の5つに分析され, そのうち最後の2つの状態は警戒を要す可き要素がとりのぞかれた場合, つまり実験者がハブからみえなくなつた場合にみられた.ハブの行動は人と対面している時と然らざる時とで差が認められ, 人のいない状況での行動が自意的な野外の行動に近いものと考えられた.2) ハブの移動速度の計測の際ハブの身体部位の一点に注目し30cmを停止せずに移動した時の速度を直進行動速度とした.この速度は, 統計的な検定の結果個体変異が少なく, 照度2〜2, 300ルックス間では差が認められず20℃における総平均直進速度値は114.8cm/分であつた.3) 前日直進行動速度を測定した群では20℃で平均70.4cm/分と検定の結果は低く, 初めて使用した群との差は有意であつたが, これは疲労や馴れの結果と考えられた.4) 136cm間の2点間を停止, 迂回をくり返しながら移動したベクトル上の平均速度を彷徨行動速度と規定したが, 2ルックスでは平均49.6cm/分, 100ルックスでは111.5cm/分, 2, 000ルックスでは138.8cm/分となつた.高照度の場合の彷徨行動速度はほとんど直進行動速度と大差なく個体によつては, むしろそれより早く暗がりへの逃避の意図があるようにも考えられた.又低照度での彷徨運動は警戒すべき何物もない状況でないと見られないことが明らかにされた.5) 警戒態勢をとつているハブが警戒緩解までの時間を警戒時間として各個体についてみると, 警戒時間は2, 300ルックス以下では照度とは無関係でありハブが野性的な性状に近いものが長く, 飼育や保管によつて人に接する機会の多いものは短い傾向が認められた.
- 1965-09-30
著者
-
田中 寛
Jica
-
阿部 康男
鹿大・医動物
-
小野 継男
東大医科研奄美施設
-
阿部 康男
鹿児島大学医学部医動物学教室
-
田中 寛
鹿児島大学医学部医動物学教室
-
三島 章義
鹿児島大学医学部附属熱帯医学研究施設
-
小野 継男
鹿児島県名瀬保健所
-
三島 章義
獨協医大総研
-
三島 章義
鹿児島大学医学部熱帯医学研究施設
関連論文
- 徳島市に蚊の天敵として移殖したカダヤシに関する観察
- フトゲツツガムシのつつが虫病リケッチア陽性コロニーにおける PCR 法によるリケッチアの検出
- 野外飼育によるタテツツガムシの生活史
- 埼玉県の一地域における野鼠寄生および土壌中のツツガムシと Rickettsia tsutsugamushi の分離
- 104 アマガエルの体表粘液による眼障害について
- ツツガムシによるツツガムシ病リケッチアの伝播機序
- 10 ハマダラカ Anopheles maculatus における数種の酵素遺伝子座の遺伝的変異
- 48 タンザニアのおけるマラリア対策のための媒介蚊採集法の比較検討
- 編集者へのてがみ
- Litomosoides carinii仔虫の免疫による感染防御
- 94 ハブ誘引効果の野外判定について
- 93 ハブに対する誘引効果判定法開発の試み
- 110 徳之島 3 部落におけるハブ駆除研究の 4 年間の成果
- 109 捕獲成績に基ずいた徳之島のハブ生息数の推定
- 18 Brugia malayi 感染スナネズミを用いた Aedes togoi 3 系統の感受性の比較
- 75 ハブ捕獲調査における誘引トラップとネットトラップの比較
- 74 総合ハブ駆除モデル研究 3 年目の成績
- 85 徳之島町手々におけるハブ駆除実験 1981 年の成績
- 84 電気バリヤーとトラップを用いたハブの捕獲調査「徳之島二部落の比較」
- 83 ハブの攻撃に対するトゲネズミの適応的な行動様式とその形態学的基礎
- Invasive Behavior of a Venomous Snake,Habu,Trimeresurus flavoviridis,into Residential Area
- 1 放飼ハブを用いた個体数推定方法の検討について
- 66 トラップを用いたハブの誘引捕獲実験について
- 62 屋敷内咬症から見たハブ生息密度の分布推定
- 16 ハブ毒の生態学的意義について
- 51 ハブのネズミ捕食活動における季節変動の室内観察
- ウミヘビ類の毒性に関する研究, マダラウミヘビ Hydrophis cyanocinctus Daudin の毒性について (第 2 報)(第 14 回大会講演要旨)
- タテツツガムシ幼虫の数種ネズミ類に対する寄生態度の差異について : 恙虫の研究第 94 報
- 恙虫が人をさすまでの機構について(B. 分類・生態・疫学, I ツツガムシ)
- 吸光度測定による蚊の吸血後の経過時間推定
- 眼虫の中間宿主に関する研究 : III 北海道, 関東地区の総合的検討
- 牛テラジア症の媒介昆虫について(第 19 回大会講演要旨)
- ノイエバエ Musca hervei Villeneuve, 1922 の牛眼虫媒介について
- 糸状虫症に関する研究 VII : オオクロヤブカ腹部体腔内におけるマレー糸状虫幼虫の被嚢化に関する組織学的観察
- 12 炭酸ガス麻酔下での毒蛇ハブの毒腺導管切断による無害化について
- 33 Aedes aegypti における esterase locus の分類
- 14 蚊の血球細胞の分類について
- 12 糸状虫に関する研究 : オオクロヤブカ体内で被嚢化されたマレー糸状虫 (B. m.) 幼虫の組織学的観察
- 25 糸状虫に関する研究 XV オオクロヤブカ体内で被嚢化されたマレー糸状虫幼虫の組織学的観察 (2)
- 9 ネッタイシマカの esterase における寒天電気泳動法の検討
- 21 糸状虫に関する研究 : 蚊のフィラリア感受性に関する遺伝学的研究 (2)
- 20 糸状虫に関する研究 : 長日および短日条件下のアカイエカ体内における Brugia pahangi 幼虫の発育
- 2 電気柵トラップを用いたハブの個体数調査法
- 53 住居におけるクマネズミの生息密度とハブ咬症との関連について
- 67 高電圧バリヤーによるハブ侵入防止野外実験について
- 63 奄美群島におけるハブ咬症発生に関連する要因の疫学的研究
- 39 奄美大島, 瀬戸内町におけるハブ生息実態調査
- 日本産 Culex pipiens 群の変異に就て〔I〕(第 5 回大会講演要旨)
- ハブならびにハブ咬症に関する研究 (Tr.-3) : ハブの行動解析, 特に照度との関係について
- ハブの自意的行動の解析, 特に照度との関係について(第 17 回大会講演要旨)
- 112 ヤマカガシ頸腺毒の毒性に関する研究 (2)
- 7 農業基盤整備のハブ駆除効果と問題点
- 86 ハブ駆除モデル研究 (2) : 環境整備によるハブの駆除実験(56 年度の成績)
- 2 畑地帯総合土地改良事業のハブ駆除効果第 2 報
- 52 ハブ駆除モデル研究 (I) : 手々部落内ハブ出現数の変動について
- 56 徳之島町諸田・徳和瀬地区のハブ生息状況
- 16 ハブ駆除に関する研究 : I 捕獲成績からみた与路島のハブ生息状況 (1)
- 61 捕獲成績からみた徳之島のハブ生息状況 (II)
- 53 電気柵とトラップを用いたハブの駆除実験(55 年度の成績)
- Age Determination in the Venomous Snake,Habu,Trimeresurus flavoviridis
- 54 トラップによるハブの個体数測定
- 46 フイリピンの住血吸虫宿主貝の密度調査と排水によるコントロールの試み
- 40 ハブの個体数調査法について
- 熱帯魚による吸虫類の中間宿主貝の殺貝効果
- 21 高電圧を用いたハブの防除について
- 14 日本住血吸虫中間宿主貝 Oncomelania quadrasi の分布型と密度測定
- 13 熱帯魚による吸虫類の中間宿主となる貝類の殺貝試験
- 30 ハブの頭蓋標本を用いた年齢推定について
- 92 電波追跡によるハブの行動の調査
- 蚊族の個体性と病原伝播性に関する研究 : Culex pipiens の鳥マラリア原虫伝播に対する個体性出現に関する研究
- ハブの輻射熱感受性に関する研究 (第 18 回大会講演要旨)
- ハブの夜間活動性に関する研究 (第 18 回大会講演要旨)
- 奄美群島におけるハブ咬傷発生の疫学的考察(第 17 回大会講演要旨)
- ウミヘビ毒の性状に関する研究(第 16 回大会講演要旨)
- 外港沿岸家屋内にて捕獲された鼠に寄生せる蚤類について(第 15 回大会講演要旨)
- ハブの身体計測値より見た雌雄の特徴並びに食性について (第 1 報)(第 13 回大会講演要旨)
- ハブ並びにハブ咬症の医動物学的研究, 実験的ハブ咬症に於ける Clostridium sporogenes の意義(第 12 回大会講演要旨)
- ハブ及びハブ咬傷の医動物学的研究, ハブ咬傷発生の気象条件について(第 12 回大会講演要旨)
- Habronema 幼虫の蠅体内発育に関する実験的研究 : 第 1 報 適温下に於ける発育変態について(第 9 回大会講演要旨)
- 日本に於ける Culex pipiens complex の検討, 特に所謂日本産ネツタイイエカの問題(第 8 回大会講演要旨)
- Anopheles hyrcanus sinensis の生態學的研究 : (累代飼育のための基礎的研究)第 1 部(第 3 回大會講演要旨 I)
- 蚊の摂取した血液の時間的変化について(第 20 回大会講演要旨)
- ある集団アパートにおけるハツカネズミの出現とその棲息状況について
- ある団地におけるハツカネズミの出現と, その棲息状況について(第 12 回大会講演要旨)
- 極超短波 (UHF) を用いたハブの行動追跡の試み
- ハブ活動の消長と咬症の関係
- ハブに関する研究 III. : ハブの夜間活動性について
- ハブに関する研究 : I. 奄美群島産ハブの食性について
- 81 ハブの行動の電波追跡について
- はぶの生息密度推定について(第 23 回大会講演要旨)
- はぶの季節的消長, 日週活動と咬症の関係について(第 19 回大会講演要旨)
- 恙虫と炭酸ガスの問題
- 19 糸状虫に関する研究 : Brugia 属糸状虫ミクロフィラリアの脱鞘 (1)
- 17 糸状虫に関する研究 VI : 蚊のフィラリア感受性に関する遺伝学的研究
- 22 糸状虫に関する研究 V : 数種蚊の Brugia malayi に対する感染性について (3)
- 11 糸状虫に関する研究 : Brugia 属糸状虫ミクロフィラリアの脱鞘 (2)
- 54 毒蛇-その機能と特徴、特にヤマカガシの毒器官の構造と毒作用について
- ハブ毒とエラブウミヘビ毒の研究 : 両蛇毒の生物的毒性の概要ならびにタンニン酸の毒性阻止効果について
- ハブ毒の研究-1b-