野外飼育によるタテツツガムシの生活史
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概要
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アカネズミから捕集したタテツツガムシ幼虫を, 埼玉県川越市の雑木林内に設置した飼育容器内に放ち, その生活史の観察を行った。1988年秋(11月)からの飼育群の幼虫は, 年内に第一若虫(protonymph)に発育して, 越冬し, 春期に第二若虫(deutonymph)に発育した。その後の発育経過は春期(1989年5月)からの飼育群とほぼ同様であり, 大部分は5月に第二若虫, 6月に第三若虫(tritonymph)まで発育し, 7月には成虫まで発育した。夏期(1989年8月)から飼育した個体群では, 翌1990年夏期に初めて産卵がみられた。また第二若虫, 第三若虫および成虫のどの発育期でも越冬できることがわかった。個別飼育による観察では, 10個体の雌が2年連続して夏期に産卵した。産卵数は第1年目に多く, 孵化率も1年目が高かった。孵化した未吸着幼虫は, 秋期に個体数が最も多くなり, 越冬後, 翌年の春期まで生存していた。卵の孵化開始時期は, 産卵後約3カ月の10月上旬で, 未吸着幼虫の生存期間は長いもので約5カ月であった。
- 日本衛生動物学会の論文
- 1994-06-15
著者
-
三角 仁子
埼玉医大学・麻酔
-
高橋 守
前長崎大学熱研
-
三角 仁子
女子栄養大
-
田中 寛
Jica
-
堀 栄太郎
埼玉県立川越高等学校
-
川村 明義
東京大学医科学研究所
-
高橋 守
埼玉県立川越農業高等学校
-
田中 寛
IMR-JICA Project, Institute for Medical Research
-
松沢 貴史
埼玉県立川越高等学校
-
守田 幸司
埼玉県立川越高等学校
-
辻 理
埼玉県立川越高等学校
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