アラトツツガムシによる皮膚炎
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概要
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アラトツツガムシ未吸着幼虫によるヒト刺咬性とその皮膚症状を被験者2名で観察した。被験者Aでは, 飼育中の未吸着幼虫20個体を前腕腹側に放したところ, 15分後に1個体が吸着しているのに気付いたが, まもなく離脱した。3日後に再度20個体を放したところ, 30分後には5個体が吸着していたが, まもなく4個体が離脱した。しかし1個体だけは吸着し続け, 12時間後には吸着部位にわずかな痒みと痛みを伴った直径3mmの紅斑が認められた。24時間後には, 紅斑は痒みと痛みを伴った小水疱に変化し, 48時間後には幼虫は体液を吸って膨潤した。この小水疱は直径約3mmに増大し, 痒みと痛みはさらに強まった。66時間後には, 十分に体液を吸って満腹した幼虫は, 吸着部位から離脱したが, 小水疱は数日間認められた。一方, 被験者Bでは, 4日または6日間の間隔で4回にわたり合計90個体を前腕腹側に放したところ, 初回にのみ1個体が吸着し, 72時間後までに満腹離脱した。吸着部位にはわずかな痒みを伴う紅斑が見られたものの, 被験者Aでみられたような強い痒みや痛みなどは感じられず, 小水疱も認められなかった。以上のことから, 本種にはヒト刺咬性のあることが確認された。また吸着時間は, マウスで実験した場合とほぼ同じであったが, ヒトに対する吸着率はマウスの場合に比べて大変低かった。
- 日本衛生動物学会の論文
- 2000-12-15
著者
-
高橋 守
川越総合高校
-
高橋 健一
北海道衛研
-
三角 仁子
埼玉医大学・麻酔
-
高橋 健一
北海道立衛生研究所
-
高橋 健一
川越総合高校
-
高橋 守
前長崎大学熱研
-
浦上 弘
新潟薬大
-
三角 仁子
埼玉医科大学医動物学教室
-
高橋 守
埼玉医科大学医動物学教室
-
浦上 弘
新潟薬科大学微生物学教室
-
浦上 弘
新潟薬大・薬学・微生物
-
浦上 弘
新潟薬科大学 薬 微生物
-
TAKAHASHI Kenichi
Hokkaido Institute of Public Health
-
高橋 守
埼玉県川越高校
-
高橋 健一
道立衛研
-
高橋 健一
北海道立衛生研究所医動物科
-
高橋 健一
Hokkaido Institute Of Public Health
-
Takahashi M
Saitama Medical School Iruma‐gun Jpn
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