腫瘍遺伝子と癌抑制遺伝子(<特集>遺伝子発現)
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概要
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近年の目覚ましい分子生物学的解析の進展により,癌の発生・進行は腫瘍遺伝子と癌抑制遺伝子とよばれる遺伝子群における変異の集積によって引き起こされると考えられるようになってきた.これらの遺伝子はほとんどが細胞内情報伝達や細胞周期制御に関わる遺伝子である.細胞の増殖を促進する腫瘍遺伝子の活性化変異と増殖抑制に働く癌抑制遺伝子の非活性化が細胞を悪性化へと導くのである.特に,細胞周期やDNA修復のために重要なp53やp16といった遺伝子の変異は染色体の不安定につながり,更なる遺伝子異常の集積へと導いていく.脳腫瘍の関連する腫瘍遺伝子としてはerbB-1遺伝子の量的・質的変化をはじめとして,SiS,C-myc,PDGF-Rなどが報告されている.癌抑制遺伝子としてはp53,NF1,NF2,p16遺伝子,さらにvon Hippel Lindau病の場合はVHL遺伝子の異常が証明されている.このような腫瘍遺伝子,癌抑制遺伝子に関する基礎的研究が脳腫瘍治療の新しい方法開発に寄与する日が訪れるかもしれない.
- 日本脳神経外科コングレスの論文
- 1996-03-20
著者
-
倉津 純一
熊本大学医学部脳神経外科
-
生塩 之敬
熊本大学医学部脳神経外科
-
西 徹
熊本大学脳神経外科
-
西 徹
済生会熊本病院脳卒中センター脳神経外科
-
西 徹
熊本大学医学部脳神経外科
-
倉津 純一
熊本大学医学部 脳神経外科
-
西 徹
熊本大学 泌尿器科
-
生塩 之敬
大手前病院 脳神経外科
-
生塩 之敬
熊本大学医学部放射線医学教室脳神経外科学教室
-
倉津 純一
熊本大学大学院医学薬学研究部脳神経外科
-
生塩 之敬
熊本大学医学部 脳神経外科
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