事象関連電位に基づく言語処理の脳内システム解析(2)
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概要
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1980年にKutas&Hillyardが意味的逸脱に伴って出現するN400を報告して以来, 事象関連電位(ERP)を用いた言語機能についての研究がさかんである。現時点では, 統語的逸脱に対しては中心・頭頂部優位に出現するP600と左前頭部優位のN280(LAN)といった成分が報告されているが, 一致した見解は得られていない。本稿では, 名詞と動詞の選択制限(意味的逸脱), 時制, 否定, 疑問詞といった各種統語的逸脱に伴って出現するERP成分について多チャンネル(64ch)脳波記録を用いて検討した。意味的逸脱に対しては従来報告されているN400が側頭部から後頭部にかけて出現し, 統語的逸脱については, 時制, 否定で左側頭部優位に早期の陰性成分, 疑問詞では頭頂後頭部優位に分布する陽性成分(P600)が認められた。それぞれの電流密度分布を検討したところ, 意味的逸脱に関しては右側頭部, 統語的逸脱に関しては左側頭部の関与が示唆された。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1999-03-05
著者
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越田 一郎
東京工科大学情報工学科
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中込 和幸
東京大学 精神医
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中込 和幸
鳥取大学医学部統合内科医学講座精神行動医学分野
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中込 和幸
帝京大学溝口病院精神科
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高沢 悟
帝京大学溝口病院精神科
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菅野 道
帝京大学溝口病院精神科
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萩原 裕子
東京都立大学人文学部
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中島 平三
東京都立大学人文学部
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伊藤 憲治
東京大学大学院医学系研究科認知・言語医学講座
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伊藤 憲治
東京大学
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伊藤 憲治
東京大学大学院医学系認知言語医学講座
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伊藤 憲治
東京大学大学院医学系研究科
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越田 一郎
東京工科大学工学部
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越田 一郎
東京工科大学大学院工学研究科
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萩原 裕子
国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部
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中島 平三
東京都立大学
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