各種機能性有機分子の結晶基板上での凝集機構

概要

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有機分子線蒸着法(OMBD)により高度に配向制御された有機超薄膜の作製技術を確立する為には、有機分子の結晶基板上での凝集機構について明らかにする必要がある。有機分子は特有の分子形状を有する為、凝集機構の相違から配向や結晶成長形態も異なってくる。そこで、平面状の機能性有機分子であるチタニルフタロシアニン(TiO-Pc)および球体状のフラーレン(C60)を試料として、NaCl、KCl、KBrおよび雲母の各種結晶基板上で超薄膜を形成し、透過型電子顕微鏡(TEM)で構造および成長形態を観察した。更に、TEM像から結晶サイズおよび隣接する結晶間距離を計測して、結晶の成長速度および分子の拡散速度を求めることで、熱力学的考察に基づいて結晶基板上での有機分子の凝集および拡散の活性化エネルギーを求めた。その結果TiO-PcおよびC60共に、ΔEgrowthは6〜17kJ/mol、ΔEdiffは3〜17kJ/molの範囲の値を示し、基板種に対して相関が見られた。有機分子と基板との相互作用の大きさと配向および成長形態への影響を定量的に解析することで凝集機構を明らかにした。
1996-07-05