ヒト静止立位の予測的神経フィードバック制御
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概要
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ヒトの静止立位姿勢を足関節を支点とした倒立振子とし, この不安定な力学構造をを直列弾性要素を持つHill型の比較的詳細な筋モデルが支える立位の筋骨格モデルを構築した.このモデルを用いて一定トニックな運動指令のみでは関節に最大の剛性を与えるように筋に運動指令を入力しても立位の安定化は不可能であることを示した.また, 神経フィードバック制御による運動指令生成を行ってもフィードバック時間遅れを考慮すると, 関節固有の粘性が実際にはありえないほど大きな値でなくてはモデルの立位は安定化できないことを示した.そこで, フィードバック制御では安定化できないことが理論的に明らかな立位モデルを計算機内に設定し, モデルの動きを被験者に視覚的に提示した.その上で, 被験者に, 自らの立位時の筋電を立位モデルを構成する筋モデルへ神経指令として入力することでモデルの動きを制御させ, 視覚フィードバックと共にモデルの立位を安定化させるよう指示した.その結果, 被験者はモデルの立位を安定化する制御方略を学習的に獲得することに成功した.解析の結果, 被験者は, 数秒スケールでのモデルの姿勢変化からその後のモデルの動きを予想しながら, 自身の姿勢を極端に動かすことなく, 適切なタイミングで変化させることで, モデルに入力する運動指令の強度を相動的に変化させるという制御方略を獲得している可能性が示唆された.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2005-03-21
著者
-
野村 泰伸
大阪大学大学院基礎工学研究科機能創成専攻生物工学講座
-
野村 泰伸
大阪大学 大学院医学系研究科薬理学講座(分子・細胞薬理学)
-
野村 泰伸
大阪大学大学院基礎工学研究科生体工学領域大阪大学臨床医工学融合研究教育センター
-
野村 泰伸
大阪大学大学院 基礎工学研究科
-
谷口 悟史
大阪大学大学院基礎工学研究科機能創成専攻生体工学領域
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