ヒト静止立位における間欠的神経制御の介入(立位姿勢・歩行運動制御,ME一般)

概要

論文の詳細を見る
スティフネス制御に代わる静止立位制御の新たな仮説を考察した.Casadioらは静止立位時の足関節弾性は,重力による負の弾性の絶対値の8割程度しかないと報告している.この状況で神経フィードバック制御がPD制御器として働き静止立位を漸近安定にした場合,神経系のフィードバック伝達時間遅れが存在するため静止立位を安定化するには大きな比例ゲインと伴に大きな微分ゲインが必要になる.しかし,そのような大きなゲインは生理学的に妥当ではないと考えられる.Bottaroらは,静止立位制御において,中枢神経は線形なPD制御器としては働いておらず,間欠的,あるいはオン-オフ的に姿勢制御に介入することで,平衡立位は漸近不安定なまま,系の状態を平衡状態周辺の有界領域に閉じこめているとする仮説を提案した.本報告では,立位姿勢動揺時の足圧中心点および足関節の筋電図の計測データに基づき,Bottaroらの新仮説を支持する現象を見出した.また,新仮説に基づく具体的な立位姿勢制御のモデルを提案した.
2006-10-20