力学系における2次元的な大きさを考慮した定性推論の検討

概要

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本研究では、EBS(Error-based simulation) 運用の高度化を指向して、カ学系における2次元的な大きさを考慮した定性推論について検討する。力学問題における学習者の立式上の誤りを挙動シミュレーション上に反映させたものがEBSであり、誤りの可視化としての有効性はいくつかの事例に対して確認されている。このEBSを運用するためには、生成された挙動が効果的に誤りを可視化しているかどうかを診断する必要があり、現在、QSIM、DO解析を利用した診断手法を実現している。しかしながら、この手法では物体の大きさは考慮されていなかった。1次元空間における単体の運動を対象とした場合にはこのことはそれほど大きな問題とはなっていなかったが、複数の物体が運動するような場合には、個々の物体の動きだけではなく、物体間の関係が重要になり、物体間の関係が人間にとってどう見えるかを診断する上で、大きさを考慮することは不可欠となる。物体の大きさを考慮した挙動推定としてForbusらの研究がある。この研究では先ず空間世界における状態記述に関して、貧困仮説(poverty conjecture)と呼ばれる「空間および形状の表現で、特定の問題から独立した一般的で、かつ純粋に定性的なものは存在しない」という仮説を導入した後、いくつかの問題について、問題固有の空間記述を用意し、その状態記述に関する遷移規則を、空間情報に沿って人問がすべて用意したうえで、大きさを持った物体の挙動推定を実現している。本研究では、Forbusらと同様に問題固有の空間記述を用意した後、その状態記述に関する状態遷移規則を運動方程式により導き、この遷移規則を用いて物体の挙動を推定する。本研究の目的は学習者から与えられた誤りを含んだ運動方程式に基づく物体の振舞いを推論することであり、Forbusらのようにあらかじめ遷移規則を用意しておくことは難しい。そこで、運動方程式から遷移規則を生成する手法を抹用している。この手法は運動方程式に基づく物体の挙動を空間世界に写像するこという目的においては十分である。
一般社団法人情報処理学会の論文
1997-03-12

力学系における2次元的な大きさを考慮した定性推論の検討

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