エネルギー差分胸部X線画像による肺腫瘤陰影の検出 : スケールスペースによるサイズアダプティブフィルタ

概要

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本論文では、肋骨が消去されたエネルギー差分胸部X線画像から腫瘤陰影を検出する方法について述べる。本研究では、エネルギー差分画像を利用することにより、従来の腫瘤陰影検出法の問題点であった肋骨縁辺での誤検出を回避し、検出性能の大幅な向上を目指す。まず、エネルギー差分画像の利用の有効性を、既存フィルタを用いた性能評価実験により実証する。また、エネルギー差分画像を用いた場合、基本的な線形フィルタであるラプラシアンガウシアン(▽^2G)フィルタが、肋骨などの線状構造の抑制を意図して設計されたフィルタと比べ、性能面において劣らないことを明らかにする。次に、評価実験結果の裏づけに基づき、▽^2Gフィルタにおけるガウス関数の標準偏差を解像度パラメータとするスケールスペースに基づく腫瘤陰影手法を定式化する。この手法では、しきい値処理により得られるスケールスペース中の3次元陰影領域において、出力値の平均が最も大きい解像度を選択しフィルタの出力とする。実験により、提案手法を用いることで、特に、微妙な腫瘤陰影の検出能力が大幅に向上することを示す。
社団法人電子情報通信学会の論文
1993-05-20