動作実行時刻に制約のある分散システムの全体仕様から各ノードの動作記述の自動導出

概要

論文の詳細を見る
近年のリアルタイム分散システムの急速な普及により,動作の生起時刻に制約がある分散システムの全体仕様から,通信に要する時間を考慮して,その制約を満たしながら全体仕様で指定された通りに動作する各ノードの動作記述を自動導出する研究が注目を集めている[1,2].文献[1], [2]の手法では全体仕様を記述するモデルとしてそれぞれ時間オートマトンの組及び時間制約付きLOTOS (LOTOS/T+)を用いている.しかし,これらのモデルでは,外部入力によるシステムの内部リソース値の更新を記述できず,さらに並列動作の同期を取り扱っていない.我々は動作の実行時刻間の制約が指定できるマーリンの時間ペトリネット(Time Petri Net)を,リソース値の更新が記述できるように拡張したレジスタ付き時間ペトリネットモデル(Time Petri Net model with Registers,以下TPNRモデル)を記述モデルとして用いる.以下では, (a) TPNRモデルで記述された分散システムの全体仕様Sspec, (b)分散システムの各ノードへのリソースの配置指定,(c)ノード間の通信路の最大遅延時間,が与えられたとする.ここで,あるSspec'がSspecの各動作の時間制約を短くした仕様であることをSspec'Sspec で表すとする.このとき,(1)ある実行方針のもとで,分散システム上でのノード間の遅延を考慮しても,その時間制約を満たしながら同様の動作が実行可能であるようなあるSspec'(⊆ Sspec)が存在するか否かを判定し,(2)存在する場合には, (1)の判定で得られる解を用いて,同実行方針のもとでSspec'の時間制約を満たしながら同様の動作を実行する, (TPNRモデルで記述された)各ノードの動作記述を自動導出する手法の概略を述べる.なお,分散システムは各ノートが正確に時刻を更新するクロックを保持するとする.実行方針は各ノードがどのタイミングでどの動作を行うかの方針を与える.与えられた実行方針のもとで(1)の条件を満たすSspec'は一意ではないが,なるべくその動作の実行可能時刻の幅が大きいSspcc'を見つける工夫をしている.本手法により,設計者自身が通信動作に要する遅延時間を詳細に検討せずに,動作の実行可能時間幅の広い動作記述を生成できる,などの効果が期待できる.
1996-09-04

動作実行時刻に制約のある分散システムの全体仕様から各ノードの動作記述の自動導出

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク