尺八吹奏音における指遣いと倍音構造の関係について
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概要
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尺八は,竹という自然の素材を用いて制作されるが,それらは,長短様々な長さのものがあり,その同一の指遣いにおける吹奏音のピッチも様々である.また,演奏する際,同じ指づかいでも息を強く吹くことで1オクターブ上のピッチの音を出したり,息の唄口に当たる角度の変化でピッチを変化させることができるまた,同じピッチであるが指遣いの異なる音などもあり,ピッチを用いた採譜の際の支障となる.その一方で,尺八演奏者は,尺八に種類や長さが変わっても同じ譜字の音は同じ音色をイメージして演奏していると言われている.尺八の楽譜は西洋音楽と異なり,音のピッチではなく,演奏の際の指遣いを表す記号(譜字)で記されている(図1)のでもしこの音色と譜字の間の関係づけができれば,(音色の違いが識別できれば),音色から譜字への直接の対応がとれ,ピッチ以外からの採譜が可能ではないかと考えられる.我々は音色のパラメータとして,倍音構造に注目し,これを用いて指遣いの識別ができるかの基礎実験を行なったのでその結果について報告する.尺八の色々な指遣いに対してそのロングトーンについて,40kHzでサンプリングし,FFT複素スペクトル内挿法を用いて処理したデータの定常部分の平均を用いた.
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1990-09-04
著者
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