要求獲得法におけるオフライン法の提案
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概要
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要求獲得プロセス(顧客/ユーザから要求を獲得していくプロセス)では、コミュニケーションが重要かつ中心的な役割をはたす。そのために従来良く使われている方法として、例えば、会議がある。こうしたコミュニケーションを通じて、その場で直接に要求を獲得する方法を、ここではオンライン法と呼ぶ。会議の形式としては、(司会者つまり要求獲得者はいるが)自由な会議、コーディネータ(つまり要求獲得者)によって統制された会議の両極端がある。自由な会議には顧客の考えていること、要望していることがそのまま発話されやすいというメリットがある反面、コミュニケーションのプロセスが繁雑になり、要求を取りこぼしやすくなる。また、統制された会議では、コミュニケーションのプロセスは統制され、顧客の要求の取りこぼしは少なくなるものの、顧客の発話が制限され、顧客の要求の「幅」が広がりにくいといったデメリットがある。いずれにせよ、オンライン法では「要求獲得者の容認と理解」というフイルター、時間的な制約などにより、要求獲得が的確に行われないことがある。つまり要求を網羅的にキャッチアップするのが困難であり、話題の展開が不十分なまま終ってしまうこともあり得る。キャッチアップの問題を回避する方法として、会議プロセスをCASEツールでサポートする方法などが提案されている。しかし、そうしたやり方は現在の計算機の速度とインタフェースでは、計算機への入出力に時間をとられるなどして、参加者の自由な思考、コミュニケーションの進展を妨げるという問題がある。ー方、話題展開の問題に関連して発想支援ツールの研究が行なわれており、将来的には期待の持てるところである。我々は、これらの問題点を解決するために、会議をビデオ撮影して、オフラインで観察・分析する方法、すなわち、オフライン法を提案する。オフライン法を用いることにより、オンラインでの話題展開を制約しないでオフラインで時間的に余裕を持って充分な解析ができる。さらに、オフラインからオンラインヘ戻すことによって話題展開の問題を回避できる。ビテオで撮影の際には、要求獲得者の動きの観察も重要である。身振り、手振りが理解の程度、納得の程度、集中の程度、動機づけの程度を表すことがあるからである。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-03-07
著者
-
大森 晃
東京理科大学
-
土井 晃一
株式会社富士通研究所情報社会科学研究所
-
大森 晃
東京理科大学 工学部
-
土井 晃一
株式会社富士研究所コンピュータシステム研究所ドキュメント処理研究部
-
土井 晃一
富士通研究所国際情報社会科学研究所
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