Endomyces sp. 糖化酵素剤によるβ-結合グルコ二糖類からの転移生成糖
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Endomyces sp. 糖化酵素剤 (Matsulase G) をβ-結合グルコ二糖類であるゲンチオビオース, ラミナリビオースおよびセロビオースに作用させて生成した転移生成糖を活性炭カラムクロマトグラフィーにより分別し分離した.その結果ゲンチオビオースからはソホロース, ラミナリビオース, ゲンチオトリオース, 6-0-β-ラミナリビオシルグルコース, 6-0-β-セロビオシルグルコースおよびゲンチオテトラオースの生成が認められ, ラミナリビオースからはゲンチオビオース, セロビオース, ゲンチオトリオース, 3-0-β-ゲンチオビオシルグルコースおよび6^2-0-β-ゲンチオビオシルラミナリビオースの生成が認められた.セロビオースからは4-0-β-ゲンチオビオシルグルコースのみが生成した.これらの糖のうちソホロースとセロビオースは分離できなかったが, ゲンチオビオース, ラミナリビオースおよびゲンチオトリオースをアセチル化物の結晶として, また3-0-β-ゲンチオビオシルグルコースを遊離糖の結晶として分離確認した.その他の糖は結晶化はできなかったが, 部分分解法により同定した.これらの転移生成糖はいずれも基質の非還元末端に転移生成したものであり, β-1.6結合に転移したものが他の位置に転移したものより生成量が多い.この転移反応は精製酵素では認められないから, 酵素剤中のβ-グルコシダーゼによるものと推定される.またこのような転移反応は従来かびのβ-グルコシダーゼでは認められているが, 酵母のグルコシダーゼには認められていない.それ故Endomyces sp.のβ-グルコシダーゼは酵母よりもむしろかびのβ-グルコシダーゼに性質が類似していると考えられる.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1971-09-25
著者
-
松田 和雄
東北大農化
-
松田 和雄
東北大学農学部 農芸化学科
-
渡辺 敏幸
東北大学農学部農産利用学研究室
-
渡辺 敏幸
東北大農化
-
松田 和雄
東北大学農学部
-
川村 杉生
東北大学農学部農芸化学科
-
阿部 直哉
東北大学農学部農芸化学科
関連論文
- 1Da-1 生長する植物中の細胞壁Xyloglucanの分解機構(III)細胞壁由来の酵素中に存在するα-XylosidaseのXyloglucanへの作用
- Dextranの生合成に関する研究(第15報)合成酵素の化学修飾に伴なう活性の変化(酵素-糖質関連酵素-)
- 酸化シクロデキストリンの調製およびその酵素阻害作用(酵素-糖質関連酵素-)
- 244 デキストランの生合成とその応用
- デキストランの生合成とその応用 (微生物多糖類の生産と応用-1-)
- Escherichia属細胞No. 1768の生産する多糖
- Escherichia属細胞No. 1768の生産する多糖
- 蜂蜜及び花粉に関する研究(第5報) : 蜂蜜の糖組成について(その2)
- 蜂蜜の研究(第1報) : 蜂蜜の糖組成について
- 432 稲ワラxylan分解酵素の検索及びその性質
- 147 酵母細胞壁Mannanの構造と生合成
- (30) いもち菌細胞表層多糖の抗原性 (昭和45年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (12) イモチ菌細胞壁の構造について (昭和43年度地域部会講演要旨(東北部会))
- 269 Aspergillus oryzaeのキシログルカン屑片オリゴ糖 4-グルカノハイドロラーゼ
- (9) いもち菌細胞壁およびプロトプラストに関する研究 (昭和44年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 多糖類の酸及び酵素糖化生成糖に関する研究 : (第4報)甘藷澱粉の酸及び酵素糖化ブドウ糖製品について : (其の2)オリゴ糖区分中のβ-結合糖の検討
- 多糖類の酸及び酵素糖化生成糖に関する研究 : (第3報)甘藷澱粉の酸及び酵素糖化ブドウ糖製品について : (其の1)糖組成について
- 336 植物病源菌Pyricularia oryzaeのセルラーゼ系酵素 IV : セルラーゼの多成分・その性質と成因
- 401. Pyricularia oryzae の生産する β-glucosidase について
- 327 いもち病菌の糖化型アミラーゼについて
- 甘酒の糖組成について
- サイクロデキストリンの化学と食品における応用 : 東北・北海道支部
- 高等植物におけるセルロ-スの生合成--現状と問題点
- 1Ca-1 イネ培養細胞より得られたα-グルカンについて
- グリコ-ゲン顆粒の構造と生合成 (アミラ-ゼ シンポジウム(1984)〔含 質疑応答〕)
- オリゴ糖および多糖の生化学的研究(昭和59年度鈴木賞受賞)
- Neurospora crassaのBranching Enzyme--グリコ-ゲンの生合成における役割 (アミラ-ゼシンポジウム(1982)特集〔含 討論〕)
- 1C-2 大豆懸濁培養細胞外酸性アラビノキシラン
- 1C-1 Xyloglucanの生合成に関する研究(第7報)
- 澱粉系多糖生合成の初発機構
- オリゴ糖の構造研究 (アミラ-ゼシンポジウム(1980)特集)
- 2B-2 大豆およびささげ暗発芽幼植物細胞壁中のxyloglucan
- 2B-3 モヤシマメ幼植物の細胞質画分から得られるβ-1, 4-glucanについて
- 2B-1 緑豆下胚軸細胞壁多糖XYLOGLUCANの構造
- 8. テヌアゾン酸の植物に対する作業機作について
- 白醤油の糖組成について
- 味淋の研究(第2報) : Carbon column chromatograpyによる糖類の分別及び定量
- 味淋の研究 (第1報) : 味淋の糖組成について
- 匂米の研究(第2報) : 匂米の澱粉について
- 楓糖蜜(Maple syrup)の糖組成について(II)
- リンゴ澱粉について : リンゴの加工に関する研究 第15報
- 匂米の研究 (第1報) : 匂米の成分組成について
- 楓糖蜜(Maple Syrup)の糖組成について
- Endomyces sp. 糖化酵素剤によるβ-結合グルコ二糖類からの転移生成糖
- 細胞壁多糖としてのキシログルカン : その構造と機能
- サブリマトグラフィーによる糖誘導体の分離及び横型サブリマトグラフィー装置の試作
- 蜂蜜及び花粉に関する研究(第4報) : 花蜜及び蜜嚢中の蜜の糖組成について
- 蜂蜜及び花粉に関する研究(第3報) : ガマ(Typha latifolia Linné)の穂の花粉の糖組成について
- 蜂蜜の研究(第2報) : コージビオース,ニゲロース,マルトース及びイソマルトースの分離
- オリゴ糖および多糖の生化学的研究
- コージビオースのエピメリ化による2-O-α-D-glucosyl-D-mannoseの調製
- 戦後における糖研究の流れを回顧する
- 水銀塩による二糖類の合成 (第1報) : 3-O-α-D-Glucopyranosyl-D-glucose (sakébiose又はnigerose) の合成(その1) 1, 2-5, 6-Di-O-Qisopropylidene-D-glucofuranoseと2, 3, 4, 6-Tetra-O-acetyl-α-D-glucopyranosyl bromideの反応
- 汁及び清酒中の二糖類(第5報) : Kojibioseの分離確認(非醗酵性糖に関する研究 第19報)
- 水銀塩による二糖類の合成(第2報) : 2-O-α-D-Glucopyranosyl-D-glucose (Kojibiose)の合成
- 麹汁及び清酒中の二糖類 : (第4報) α, α-及びα, β- Trehaloseの分離確認
- 蜂蜜及び花粉に関する研究(第6報) : 数種の花粉の糖組成について
- 糖化酵素剤(Aspergillus niger)により生成するオリゴ糖類について
- 糖化酵素剤 (Endomyces sp.) により生成する逆合成糖類について
- 澱粉酵素糖化ハイドロールの糖組成について(第2報) : 酵素剤による逆合成糖類の検討
- 澱粉酵素糖化ハイドロールの糖組成について
- シイタケの水溶性多糖に関する研究-1-
- 多糖類の加酢分解-4-
- 多糖類の加酢分解-3-
- ブドウの利用研究-1-