さし木スギ品種および1みしょう個体間の交配によるF_1苗の苗高生長とその遺伝力の変動

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東北林木育種場(盛岡), 関東林木育種場(水戸)および放射線育種場(茨城・大宮)の3か所において, スギの6さし木品種および1みしょう個体(C-1)間の交配でえられた1年生と2年生のF_1苗の苗高生長とその遺伝力の変動を調査した。クマスギを雌親とした場合, イワオスギ, サンブスギおよびC-1を花粉親とした家系の生長がすぐれていた。大宮における各家系の苗高の平均値の差の検定をしたところ, イワオスギとサンブスギについて有意(1〜5%)であった。盛岡における各家系の平均苗高は水戸と大宮におけるそれの半分以下であった。これらのみしよう苗において, 花粉親からの遺伝力は場所および家系の組合わせにより変動した。家系間, 家系内の分散分析における遺伝力の推定において, 高い遺伝力をもたらす二つの要因として, (1)家系間の平均値の差が大きいこと, (2)各家系の分散(標準偏差)が小さいことがある。上記の2項目より重要性は低いが, 一つの間伐試験の結果から, (3)各家系の分散が等しいことを加えてよい。家系間の平均値の差が小さいため, 盛岡での遺伝力は0.33であった。水戸では全家系についての遺伝力は1.03であったが, 高い平均値をもったサンブスギ家系を除外すると遺伝力は0.53に下がった。逆に, 大宮では全家系についての遺伝力は0.46であったが, 中位の平均苗高で, かつ大きな標準偏差をもつC-1家系を除外すると遺伝力は0.65に高まった。ヤブクグリを雌親とした家系群では0.72の高い遺伝力が推定された。6花粉親, 4雌親からの家系をまとめて, 花粉親からの遺伝力0.43,雌親からの遺伝力0.04が推定された。大宮においてクマスギを雌親とした家系で一種の間伐試験を行ない, 遺伝力の変動を調査した。苗高階級の低い級から1階級ずつ除外し, 遺伝力を計算した。集団のパラメーターの変動をしめす基準として, 平均苗高と標準偏差についてそれぞれの家系値とそれらの平均値の差の絶対値を集計した(Σ__<j=1>|X^^-_<ij>-X^^-_i|, Σ__<j=1>|D_<ij>-D^^-_i|, i : 集団番号, j : 花粉親番号)。Σ__<j=1>|X^^-_<ij>-X^^-_i|は間伐の進むにつれて単調に減少した。一方, Σ__<j=1>|D_<ij>-D^^-_i|はとつ型のカーブをしめした。この値が小さいことは各家系の分散の大きさが均一なことをしめすが, 遺伝力の変動はΣ__<j=1>|D_<ij>-D^^-_i|に逆比例している。
日本森林学会の論文
1970-02-25

さし木スギ品種および1みしょう個体間の交配によるF_1苗の苗高生長とその遺伝力の変動

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