林木の放射線感受性に関する研究(V) : スギの自殖種子, 他殖種子および一つの標識遺伝子をもった種子の放射線感受性のちがいについて
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概要
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スギの自殖種子, 他殖種子および一つの標識遺伝子をもった種子の放射線感受性を調査した。2母樹, G-5とC-5を用い, G-5の自然着花(TG-5), ジベレリンで着花(BG-5), C-5の自然着花(C-5)したものの自殖種子およびTG-5×C-5,TG-5の自然受粉種子の5種子群に0,6,000,12,000,15,000Rのガンマー線(3,000R/day)をガンマー線照射ほ場で照射した。無照射区においてもジベレリンによる着花の自殖種子は自然着花の自殖種子よりも発芽率, 発芽勢が低かったが, ガンマー線照射区においては発芽率がさらに低下した。一方, G-5の自然着花の自然受粉種子がもっとも放射線に抵抗性を示した。2母樹間の雑種種子は自然受粉種子, ジベレリンによる着花の自殖種子の中間の発芽率を現わし, 両親のいずれよりも, 少し高い発芽率であり, 放射線感受性においてもヘテローシス効果を示した。12,000Rおよび15,000Rを照射した種子の発芽率から放射線感受性に及ぼす種子の遺伝的および生理的な役割の大きさを推定したところ, 生理的な部分よりも遺伝的な部分の方が大きかった。母樹G-5は淡緑色子葉苗を生ずる一劣性遺伝子をヘテロでもっており, 自然着花, ジベレリンによる着花のいずれにおいても自殖種子から, 正常と変異苗が3 : 1の割合で分離する。ジベレリン着花の自殖種子にガンマー線を照射し, 変異苗の分離比を調査したところ, 期待値よりも有意に低い方へひずんだ分離比を示した。このことから, ある特殊な遺伝子型をもった種子は選択的に放射線障害を受けやすく, 照射当代, X_1集団の遺伝子構成は照射前の遺伝子構成とは多少異なると考えられる。染色体橋をもつ細胞の百分率で表わした細胞分裂異常の頻度は照射線量に比例して直線的に増加した。
- 日本森林学会の論文
- 1967-02-25
著者
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