林木の放射線感受性に関する研究(II) : ガンマー線照射ほ場における緩照射によるハンノキ類, ポプラ類およびカンバ類の苗木の生長と枝変り
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概要
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ガンマー線照射ほ場における緩照射によるハンノキ類, ポプラ類およびカンバ類の育種の基礎資料をえるため, これらの樹種の1年生苗, または, さしほを照射ほ場内の40〜240r/dayの区域に定植, 直ざしをし, 生育および枝変り発生を調査した。これらの苗木の100%致死線量率は, 樹種, 年次によりちがいがあったが, 定植2年目では, 約60〜160r/day, 3年目では, 約60〜80r/dayの範囲であった。高線量率区で樹高生長は低下し, とくに, 2年目, 3年目での樹高生長の低下は顕著であった。樹高と線量率との回帰直線から推定した無照射区の樹高を比較すると, 1964年, 1965年の樹高の50%低下線量率は60〜80r/dayであった。めくら芽, 節間での異常分岐などの放射線障害がみられたが, 一般に, ポプラ類では障害の発生率が低く, ハンノキ類では高かった。また, 高線量率区では障害により葉が細くなり, 葉形指数(葉長/葉幅)も大きくなった。とくに, ギンドロでは葉形指数と線量率との間の回帰係数は有意であった。定植1〜2年まで全く枝変りは検出されなかった。3年目の春(1965)に苗木地上部を地際から切り取る『切り戻し』を行ない, 根部, 幹基部の不定芽を発育させ, 枝変りの発生をうながしたところ, ポプラ類とカンバ類で7例の突然変異が検出された。しかし, ハンノキ類では枝変りは検出されなかった。このうち6例は斑入りの変異であり, 他の1例は, シモニドロで葉緑素変異をともなった葉の形態変異で萌芽枝にセクター状に変異が発生した。この7例はすべて50〜70r/dayの区域で発生したので緩照射におけるポプラ類, カンバ類の枝変りを生ずる最適線量率は50〜70r/dayと推定される。
- 1966-01-25
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