林木の放射線感受性に関する研究(III) : カラマツの生長および葉の細胞分裂におよばすガンマー線緩照射の影響
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概要
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ガンマー線照射ほ場に定植した日本カラマツの生長および新葉の細胞分裂におよぼすガンマー線緩照射の影響を調査した。カラマツ苗木の100%致死線量率は第1年目(1962)には13r/dayであり, 1962年から1965年まで致死に関して放射線の累積効果は認められなかった。連年樹高生長は約2r/dayでも抑制され, 連年樹高生長の50%減少線量率は2.5〜4.5r/dayと推定され, 胸高直径, 葉長, 1短枝あたりの葉数では約1〜9r/dayと推定された。葉の横断面の両側の樹脂溝消失, 不規則な大きさの内皮硬膜細胞などの葉の内部形態の変化は線量率の増加にしたがって有意に高くなった。さらに, 新葉の分裂中の全細胞に対する染色体橋をもった細胞の百分率でしめした細胞分裂異常は線量率と正の相関があった。しかし, 放射線の累積効果はなかった。樹高, 胸高直径などの50%減少線量率と同じような意味で異常分裂の50%減少線量率は約10r/dayと推定され, 連年樹高生長以外の生長形質の50%減少線量率と大体一致した。この試験では枝変りは全く発見されなかったけれども, 生長点の細胞の遺伝子, または染色体によっても枝変りが発生することは明らかである。ガンマー線の緩照射で枝変りを発生させるには, より高い異常で, かつ, より軽度の細胞分裂障害を生ずるような枝変り発生の最適線量率範囲があると考えられる。
- 日本森林学会の論文
- 1966-02-25
著者
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