適応的オブジェクトのための局面解析手法
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概要
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並列計算や分散計算において,オブジェクトのデータ更新に関する詳細な情報は,不要な排他制御の除去やデータキャッシュといった高速化にとって重要である.しかし,従来のコンパイラではプログラムの振舞いの変化をとらえることは難しく,プログラマの知識に基づいた手作業の最適化が行われてきた.我々が目指すのは,状況に応じた最適化を自動的に施すことができる適応的なオブジェクトの実現である.そのためのアプローチとして,プログラムを複数の局面から構成されたものとしてとらえることとした.プログラムの振舞いの変化をプログラマに局面として記述してもらい,その記述をもとに処理系が局面に関する情報を解析し,局面に応じた最適化を可能にする.本論文では,その局面解析手法について提案を行う.解析では,プログラマの局面に関する記述から,各コードブロックがどの局面において実行されうるのか(可能局面)と,どのような局面間遷移がありうるのか(可能局面遷移)とを解析する.この2種類の情報は本来互いに依存しており,その確定には大域的な解析を必要とする.我々は,解析の高速化のため,(1)メソッド単位に実行可能な可能局面解析と,(2)その結果を利用して行う可能局面遷移の確定の2部構成のアルゴリズムを提案している.本解析結果は,すでに排他制御緩和技術などに利用されており,その有効性が示されている.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2003-02-15
著者
-
八杉 昌宏
京都大学大学院情報学研究科
-
鎌田 十三郎
神戸大学工学部情報知能工学科
-
鎌田 十三郎
プログラミング研究会論文誌編集委員会
-
Yasugi Masahiro
Department Of Communications And Computer Engineering Graduate School Of Informatics Kyoto Universit
-
Masahiro Yasugi
Graduate School Of Informatics Kyoto University
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