オブジェクト指向並列言語OPAのための遅延正規化手法
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概要
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本論文では,Java言語を拡張したオブジェクト指向並列言語OPAのためのいくつかの実装手法を提案する.Java等のオブジェクト指向並列計算においては,各スレッドは,synchronized構文を実現するため同一性(スレッドID)を維持する必要がある.また,共有オブジェクトへの排他的アクセスをサポートするため一般的な同期を可能とする機能(中断および再開)が必要さある.洗練された例外処理のため,OPAは動的スコープによるjoin構文を採用しており,例外ハンドラは,並列実行中,任意の子スレッドにより投げられた例外を捕まえられる.,マルチスレッド言語の効率良い実装において,「遅延」は重要な概念である.たとえば,遅延タスク生成(Lazy Task Creation: LTC)は,負荷分散を効率良く行うことができる.本論文では,スレッド同一性維持,一般的な同期,動的スコープによるjoinといったOPAの現代的な言語機能に遅延性を利用する方法を提案する.さらに,OPA処理系は移植性のためcコードを生成するが,これによりLTCを用いるのが難しい.Cilk言語の実装は,制限された(うまく構造化された)マルチスレッド計算において,すでにこの問題を解決しているが,我々の実装は,LTCを採用するだけでなく,OPAの持つ現代的な言語機能をサポートしており,さらにCilkを上回る性能を達成している.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2004-05-15
著者
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八杉 昌宏
京都大学大学院情報学研究科
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湯淺 太一
京都大学大学院工学研究科情報工学専攻
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馬谷 誠二
京都大学大学院情報学研究科
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小宮 常康
電気通信大学大学院情報システム学研究科
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湯淺 太一
京都大学大学院情報学研究科
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湯浅 太一
豊橋技術科学大学
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小宮 常康
京都大学大学院情報学研究科通信情報システム
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Yasugi Masahiro
Department Of Communications And Computer Engineering Graduate School Of Informatics Kyoto Universit
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Masahiro Yasugi
Graduate School Of Informatics Kyoto University
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