モード切替機構を持つ分散環境向けJava集合ライブラリの提案
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
最近,PCクラスタなどの分散計算環境がその高い計算能力で注目を集めているが,不規則な共有データを扱う並列プログラムの効率化には,かなりの労力を必要とする.本論文では,集合などを含んだリンクデータ構造を分散環境で共有するための計算環境を提案する.本環境上では,プログラマは配列やハッシュや木構造を含む共有データを,PE間にまたがった形で配置し,加えて,計算局面に応じて各データのキャッシュを他のPEに配置するかどうか,オブジェクトフィールド単位で指定可能である.各PEではキャッシュ保持のためのプロキシが準備される.このため,共有オブジェクトイメージのもとで,本体データおよびキャッシュを利用した効率的な局所計算を行うことができる.一方で,キャッシュがない場合に備えて,プ白キシはオブジェクト本体への遠隔メソッド呼び出し機構も提供する.つまり,共通のオブジェクトイメージ上で,MPIのCollective通信のような明示的データ再配置機能と,必要に応じて遠隔アクセスを行うための機構を用いたプログラミングが可能となる.また,逐次プログラムからの移植などにおいても,オブジェクトの構造自体をほとんど変更することなく,データ再配置を実現することができる.本手法の有効性については,実アプリケーションを通して,記述面ならびに試験実装システム上での実行性能の評価を行う.
- 2005-01-15
著者
-
鎌田 十三郎
神戸大学工学部情報知能工学科
-
鎌田 十三郎
プログラミング研究会論文誌編集委員会
-
森本 昌治
神戸大学
-
森本 昌治
神戸大学大学院自然科学研究科情報知能工学専攻
-
二ツ森 大介
神戸大学大学院自然科学研究科情報知能工学専攻
-
二ツ森 大介
神戸大学
関連論文
- バイトコード変換を用いたJava標準API拡張ツール
- 共有メモリ型並列計算機におけるキャッシュを意識したオブジェクト内レイアウト法
- 要求駆動型XML計算環境Nanafusiの実装と評価(オペレーティングシステム)
- オブジェクト指向並列言語OPAのためのコード生成手法
- 並列計算機におけるキャッシュを意識した自動メモリ管理機構(キャッシュの効率的利用)
- 超並列計算機上の高効率な大域的ガーベジコレクション
- ユーザプログラムに応じた変換を容易に実現できるバイトコード変換系Cusapiとその応用
- パターンマッチに基づくバイトコード変換とその型安全性
- モード切替機構を持つ分散環境向けJava集合ライブラリの提案
- 細粒度スレッド対応デバッガのポータブルな実装方式
- 適応的オブジェクトによる排他制御の実行時緩和 (並列処理)
- 局面単位キャッシュ機構を持つ分散計算環境とそのアプリケーション評価
- 「情報処理学会論文誌 : プログラミング」の編集について
- 要求駆動型XML処理のスケジューリングおよびメモリに関する効率化(プログラミングモデル・ツール)
- 適応的オブジェクトのための局面解析手法
- オブジェクト指向並列言語によるN体問題の並列化とその評価